白駒の池は、長野県南佐久郡佐久穂町と小海町との境界に位置する、北八ヶ岳の麓・八千穂高原に広がる神秘的な湖です。標高2,115メートルの高地にあり、標高2,100メートル以上にある湖としては日本最大を誇ります。その美しい景観と自然環境から、四季を通じて多くの観光客や登山者を魅了しています。
湖は清冽な水をたたえ、周囲を取り囲む原生林や苔むした森と一体となって幻想的な雰囲気を生み出しています。特に秋の紅葉は圧巻で、湖面に映り込む赤や黄色の木々がまるで絵画のような美しさを見せます。遊歩道も整備されていますが、苔で滑りやすい箇所があるため、スニーカーやトレッキングシューズの着用が推奨されています。
白駒の池は、白駒峰の噴火により大石川が堰き止められて誕生した堰止湖です。面積は約0.11平方キロメートル、周囲長は1.35キロメートル。最大水深は8.6メートルで、透明度は5.8メートルにも及びます。毎年11月下旬には全面結氷し、本州で最も早く湖面でスケートができる場所としても知られています。
湖を取り囲むのは、樹齢数百年にもなるコメツガ、トウヒ、シラビソの原生林。その足元には一面に苔が広がり、「苔の森」として日本蘚苔類学会より「日本の貴重なコケの森」にも選定されています。高山植物やドウダンツツジなどの広葉樹も自生しており、自然の多様性を体感できるエリアです。
白駒の池へは、国道299号線(メルヘン街道)沿いに設けられた駐車場から徒歩約15分でアクセス可能です。駐車場は森林組合が管理する有料駐車場と、無料の麦草公共駐車場(麦草ヒュッテ近く)があります。紅葉シーズンには特に混雑し、道路が渋滞することもあるため、時間に余裕を持った訪問がおすすめです。
佐久方面からは千曲バスが、JR佐久平駅からJR小海線の中込駅・八千穂駅を経由して麦草峠行きの路線バスを季節運行しています。また、茅野駅方面からは諏訪バスが同じく季節運行で麦草峠行きのバスを運行しており、白駒の池を経由します。
白駒の池周辺には、観光客や登山者の拠点となる山小屋や施設も点在しています。
池の北岸に位置する山小屋で、売店やキャンプ場が併設されています。宿泊や休憩の場として利用可能です。
西岸に建つ山小屋で、食事や宿泊が可能です。湖畔の静けさを味わいながら過ごすひとときは、訪れる人々に特別な体験を与えてくれます。
白駒の池は、北八ヶ岳の登山ルートの一部としても知られています。特に「高見石」からは、白駒の池を一望できる絶景が広がります。さらに、乳(にゅう)方面へ進むと「白駒湿原」があり、ワタスゲなどの高山植物が四季折々の姿を見せてくれます。
白駒の池の名前には、古くから伝わる民話が関わっています。昔、恋に落ちた男女がいましたが、女の父親は二人の仲を裂こうと男を山奥に追いやりました。女は男を追って山に入るものの、道に迷ってしまいます。そのとき一頭の白馬が現れ、女を池まで導き、男が池の中にいると告げました。女は白馬とともに湖へと姿を消し、二度と戻ることはなかったといわれています。この白馬が「白駒」であり、池の名の由来となったのです。
国土地理院の地図では「白駒池」と表記されていますが、文献や観光パンフレット、看板などでは「白駒の池」「白駒池」「白駒ノ池」と複数の表記が混在しています。いずれも同じ湖を指しており、地域や資料によって表記が異なる点も興味深い特徴です。
白駒の池は、標高2,115メートルの高地に広がる日本最大級の湖であり、苔むした原生林や四季折々の景観が楽しめる名所です。特に紅葉の美しさは圧巻で、多くの人々が訪れる理由のひとつとなっています。アクセスも比較的良く、自然散策や登山、伝説の世界に触れることができる貴重な観光スポットです。訪れる際は歩きやすい服装を整え、心ゆくまで神秘の湖の魅力を堪能してみてください。