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駒形神社(佐久市)

(こまがた じんじゃ)

馬の神を祀る歴史深き社

駒形神社は、長野県佐久市塚原字新城に鎮座する歴史ある神社です。古くからこの地に根差し、地域の人々に親しまれてきたこの神社は、室町時代に建立された本殿を有し、その建築的価値と歴史的重要性から国の重要文化財にも指定されています。

本殿は、佐久市内に残る中世の神社建築の中でも特に貴重なものの一つであり、当地の歴史や文化、そして古くからの信仰心を現在に伝える貴重な文化遺産となっています。

駒形神社の由緒と歴史

中世における再興と信仰の継承

この神社の創建年代は定かではありませんが、文明十八年(1486年)、当時佐久郡を治めていた耳取城(みみとりじょう)の城主・大井政継(おおいまさつぐ)によって再興されたと伝えられています。このことから、室町時代後期にはすでに神社としての体裁が整えられていたことがうかがえます。

駒形神社は、長野県内でも比較的早期に神社建築の再整備が行われた例とされており、当時の城主がいかに信仰を重んじ、地域の守護を願ったかを物語っています。

馬と深い関わりをもつ信仰のかたち

駒形神社が祀る祭神は宇気母智命(うけもちのみこと)で、五穀豊穣の神として知られる存在です。しかし、駒形神社の特徴として特筆されるのは、古くから馬との深い関わりを持っている点です。

神社の周辺地域である塚原や塩名田一帯は、かつて馬の産地として栄えており、古代から中世にかけては広大な牧場が存在していたとされています。とりわけ、近隣の道本城(どうもとじょう)に拠った根井氏が領主であった頃には、広い台地を利用して盛んに馬が育成されていたとされます。

このような背景から、神社名の「駒形」は、馬を意味する「駒」に由来し、また中世の神人(しんじん)である「駒形神人」との関連性も指摘されています。こうした点からも、駒形神社は農耕とともに、馬という家畜に深く関係する信仰の場であったことがうかがえます。

伝承に残る城郭の記憶

現在、神社のある丘陵地帯は、「駒形城」という別称でも呼ばれることがあります。これは、かつてこの地に中世の城郭が存在していたという伝承によるもので、実際に地形や立地からみても、防御に適した城郭的な構造を持っていたことが想像されます。

このように、駒形神社は単なる信仰の場にとどまらず、中世の軍事的拠点や牧場跡としての側面も併せ持ち、地域の歴史を多角的に物語る存在です。

駒形神社本殿の建築的価値

国の重要文化財に指定された社殿

駒形神社の本殿は、室町時代に建てられたもので、現在では国の重要文化財に指定されています。その建築様式は「一間社流造(いっけんしゃながれづくり)」という日本古来の神社建築形式であり、屋根は「柿葺き(こけらぶき)」という木の薄板を重ねる伝統的な手法で葺かれています。

この建物は、建築美に加え、当時の技術や信仰観を色濃く反映した貴重な文化財です。流造の柔らかな屋根の曲線と、柿葺きの自然素材が醸し出す風情は、神聖さと優雅さを兼ね備えた空間を演出しており、訪れる人々を静かに迎え入れます。

地域に根ざした信仰のかたち

この神社は今なお地域住民の信仰の対象であり、四季折々の行事や祭礼が執り行われています。特に、五穀豊穣や家畜の守護、交通安全などを祈願するために、多くの人々が参拝に訪れます。

また、本殿の周囲は緑豊かな自然に囲まれ、静寂の中にたたずむその姿は、訪れた人に心の安らぎと静けさをもたらしてくれます。

交通アクセスと見どころ

アクセス情報

駒形神社へは、JR東日本小海線「塩名田駅」または「中込駅」から車で数分の距離にあり、県道や国道からもアクセスしやすい立地です。徒歩でも訪れることが可能ですが、坂道が多いため、車やタクシーの利用が便利です。

周辺の歴史探訪と合わせて楽しむ

神社周辺には、道本城跡や塩名田宿跡といった中世・近世の歴史を感じさせるスポットが点在しています。佐久市の静かな自然環境と、歴史を感じる建造物とのコントラストは、ゆったりとした時間を楽しむ旅にぴったりです。

おわりに ― 馬の信仰とともに生きる神社

駒形神社は、信仰の場であると同時に、佐久の自然と歴史を語る文化遺産でもあります。古くから馬と深い関わりを持ち、今なおその精神を受け継ぎ続ける神社の佇まいは、多くの人の心に静かな感動を与えてくれることでしょう。

佐久市を訪れる際は、ぜひこの駒形神社に足を運び、静かな森に包まれた神聖な空間で、悠久の歴史と人々の祈りに耳を傾けてみてください。

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名称
駒形神社(佐久市)
(こまがた じんじゃ)

上田・小諸・佐久

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