鹿教湯温泉は、長野県上田市(旧丸子町、旧西内村)に位置する、自然と信仰の趣が調和する歴史ある温泉地です。古くから湯治場として親しまれており、江戸時代より人々の健康を支えてきました。昭和31年には環境庁(現・環境省)より国民保養温泉地に指定されており、現在も療養目的の訪問者が多く訪れています。
鹿教湯温泉という名前には美しい伝説が込められています。文殊菩薩が鹿の姿に身を変え、信仰心の篤い猟師に温泉の場所を教えたというものです。この故事により、「鹿が教えた湯」として鹿教湯と名づけられました。温泉地の中には、その伝説を今に伝える文殊堂があり、ここには行基が彫ったとされる文殊菩薩像が安置されています。この像は「日本三大文殊」の一つとされ、信仰の対象として多くの人々が参拝に訪れます。
鹿教湯温泉の泉質は単純温泉(弱アルカリ性低張性高温泉)で、源泉温度は約42℃です。無色透明でクセのないやさしい湯が特徴で、身体への負担も少なく、どなたでも安心して入浴できます。特に神経痛、関節痛、冷え性、疲労回復などに効果があるとされ、長期滞在型の湯治にも適しています。
鹿教湯温泉は、飲泉としての評価も高く、「飲泉番付・東の大関」に選ばれた経歴もあります。特に中風予防や高血圧に効果があるとされており、体の内側から健康を整えることができると評判です。ただし、効能についてはすべての方に効果があることを保証するものではありません。
鹿教湯温泉は、内村川の清流沿いに広がっており、心安らぐ風景が旅人を迎えてくれます。温泉街には、約30軒の旅館や大型ホテルが軒を連ねており、静かな滞在を楽しむことができます。また、鹿教湯病院やクアハウスなど、リハビリや長期滞在に対応した施設も整備されています。
温泉街には2軒の共同浴場があり、特に有名なのが「文殊の湯」です。これは鹿教湯最古の源泉跡「五台橋」のたもとに位置し、近年改装されて露天風呂付きの現代的な日帰り入浴施設として生まれ変わりました。地元の方々だけでなく、観光客にも人気のスポットです。
また、温泉街の中心部には鹿教湯温泉交流センターがあり、こちらでは無料で足湯を楽しむことができます。気軽に温泉気分を味わえる場所として、散策途中に立ち寄る方も多く見られます。
鹿教湯温泉はその効能から、古くより湯治場として栄えました。江戸時代には上野国新田郡の代官が湯治に訪れた記録が残っており、地元住民のみならず武士階級の人々にも利用されていたことがうかがえます。温泉と信仰が融合したこの地は、長きにわたり人々の癒しの場であり続けてきました。
昭和31年6月15日、鹿教湯温泉は霊泉寺温泉・大塩温泉とともに「内村温泉」として厚生省(現・厚生労働省)の告示第152号により国民保養温泉地に指定されました。その後、温泉地の総称は「丸子温泉郷」と改められ、現在に至っています。
鉄道でのアクセスは、北陸新幹線およびしなの鉄道「上田駅」から、千曲バス 鹿教湯線または上田松本線(土休日のみ運行)に乗車し、約45分で「鹿教湯温泉」バス停に到着します。
また、篠ノ井線「松本駅」からは、アルピコ交通バス(松本電鉄バス)鹿教湯温泉線で約50分。「鹿教湯温泉」バス停で下車してください。※アルピコ交通では区間内のみの乗車(例:鹿教湯温泉上~三才山病院口)は不可となっています。
お車でのご来訪の場合は、以下のインターチェンジをご利用ください:
主要道路としては、国道254号(内村街道)および長野県道177号鹿教湯別所上田線が整備されており、ドライブにも最適なルートです。