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地獄谷野猿公苑

(じごくだに やえんこうえん)

温泉に入浴する野生のサル

地獄谷野猿公苑は、長野県下高井郡山ノ内町に位置する、世界的にも非常に珍しい観光施設です。ここでは、野生のニホンザルが温泉に入浴する姿を間近で観察することができ、その独特な光景から国内外で高い人気を誇っています。

特に冬季、雪深い渓谷の中でサルたちが湯に浸かり、穏やかな表情を見せる姿は「スノーモンキー(Snow Monkey)」として海外でも広く知られ、多くの外国人観光客がこの地を目指して訪れます。

地獄谷という名が示す厳しい自然環境

噴煙が立ち上る渓谷の景観

地獄谷野猿公苑は、志賀高原を源流とする横湯川の渓谷に位置し、地獄谷温泉郷の最も奥深い場所にあります。標高は約850メートルに達し、冬季には積雪が1メートルを超えることも珍しくありません。厳冬期には最低気温が-10℃以下になることもあり、日本有数の寒冷地といえます。

この地域では、100℃近い高温の源泉が地表から噴き出し、常に白い噴煙が立ち上っています。その荒々しい光景から、人々はこの地を「地獄谷」と呼ぶようになりました。自然の厳しさと温泉の恵みが共存する、非常に特徴的な環境です。

公苑の成り立ちと人とサルの共生

開苑の背景と理念

地獄谷野猿公苑は、1964年(昭和39年)に開苑しました。開苑当初から掲げられている理念は、「人間と野生動物の共生をそのままの姿で見せること」です。

戦後、林業による山林の伐採が進んだことで、ニホンザルたちは食料を求めて人里へ下りるようになり、農作物被害が深刻化しました。地域では駆除の声も高まりましたが、初代苑長である原荘悟氏はそれに反対し、サルと人が共に生きる道を模索しました。

餌付けと半野生の環境

原氏は、現在の地獄谷温泉上流部でサルたちを餌付けし、約3年をかけて人の存在に慣れさせました。その結果、サルたちは人間を敵視せず、自然な距離を保ったまま暮らすようになり、公苑が誕生しました。

現在もサルたちは半野生状態で生活しており、人間に対して過度な関心を示すことはありません。そのため、観光客がいても自然体で過ごす姿を見ることができます。

温泉に入るニホンザルという唯一無二の光景

温泉入浴のはじまり

サルが温泉に入るようになったきっかけは、偶然の出来事でした。公苑開設当時、近隣にある旅館「後楽館」の露天風呂に、好奇心旺盛な子ザルが入り込んだことが始まりとされています。

その様子を見た他のサルたちも次第に真似をするようになり、やがて温泉に入る習慣が広がりました。衛生面や安全面への配慮から、現在ではサル専用の露天風呂が整備されています。

冬の名物「スノーモンキー」

特に人気が高いのは、12月から3月にかけての冬季です。雪に覆われた渓谷の中、サルたちが肩まで湯に浸かり、目を細めてくつろぐ姿は、まさに冬の風物詩といえるでしょう。

この姿は海外では「Snow Monkey」として知られ、欧米やアジアのメディアでも頻繁に紹介されています。不便な山道を30分ほど歩かなければならないにもかかわらず、世界各国から多くの観光客が訪れる理由が、ここにあります。

入浴するサルたちの特徴と行動

温泉に入るのは誰?

温泉に入るサルは、主にメスや子ザルが中心です。一方、オスザルは比較的入浴することが少ないとされています。これは、群れを守る役割を担うオスが、すぐに動ける状態を保つ必要があるためともいわれています。

湯冷めしない体の仕組み

サルたちは温泉から上がった後も、寒さで体調を崩すことはほとんどありません。これは、体毛の構造によるものです。外側の毛が水をはじき、内側の保温性の高い毛が体温を維持するため、湯冷めしにくいとされています。

研究機関の調査でも、ニホンザルは寒冷地への適応能力が非常に高く、入浴後も元気に山中を移動できることが確認されています。

観察時のルールとマナー

安全で快適な観察のために

地獄谷野猿公苑では、サルと人間が安全に共存するため、観光客にいくつかの重要なルールが設けられています。

・サルに餌を与えない
・サルに触れない
・サルの目をじっと見つめない
・適切な距離を保つ
・自撮り棒を使用しない

サルたちは野生動物であり、完全に人に慣れているわけではありません。自然な距離感を保つことで、事故を防ぎ、より自然な行動を観察することができます。

サルが見えない日もある

営業時間内であっても、サルたちが公苑に姿を現さないことがあります。これは異常ではなく、山中へ食料を探しに行っているためです。自然環境の中で暮らす野生動物であることを理解し、温かく見守る姿勢が求められます。

アクセスと見どころ

山道を歩いてたどり着く特別な場所

地獄谷野猿公苑は山奥に位置しており、最寄りの駐車場やバス停から約30分ほど山道を歩く必要があります。冬季は雪道となるため、防寒対策や滑りにくい靴の着用が推奨されます。

途中には、100℃近い源泉を吹き上げる渋の地獄谷噴泉があり、大地のエネルギーを感じられる見どころの一つとなっています。

国際的評価と観光地としての魅力

1998年の長野オリンピック以降、地獄谷野猿公苑は海外での知名度を大きく高めました。現在では、年間来苑者のうち2〜4割が外国人観光客となることもあり、世界的な観光名所として確固たる地位を築いています。

トリップアドバイザーなどの観光評価サイトでも高い評価を受け、「外国人が感動した日本の観光地」として度々上位にランクインしています。

まとめ

地獄谷野猿公苑は、野生のニホンザルが温泉に入浴する姿を観察できる、世界でも唯一無二の場所です。厳しい自然環境の中でたくましく生きるサルたちの姿は、訪れる人々に驚きと癒やし、そして自然との共生の大切さを教えてくれます。

訪問の際にはルールとマナーを守り、静かに見守ることで、地獄谷野猿公苑ならではの感動的な体験を、より深く味わうことができるでしょう。

Information

名称
地獄谷野猿公苑
(じごくだに やえんこうえん)
リンク
公式サイト
住所
長野県下高井郡山ノ内町平穏6845
電話番号
0269-33-4379
営業時間

夏季(4月~10月頃)8:30~17:00頃
冬季(11月~3月頃)9:00~16:00頃

定休日

なし

料金

大人 800円
小人 400円

駐車場
普通車50台
アクセス

信州中野ICから車で20分[15km]  → 下車徒歩30分
長野電鉄長野線湯田中駅からバスで15分 → 徒歩30分

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