夏ならば、茄子を千切りにして、少し油で炒め、その中に味噌を入れたものが多かった。冬ならば、漬け菜を油で炒めたもの、大根のソボロ、ネギ味噌などが用いられている。伝統的な作り方は、囲炉裏の灰の中で焼くのが通常だが、一度囲炉裏の隅におかれた「渡し」の上で乾かしてから焼く。その時の燃料はコナラなどの落葉広葉樹が用いられる。
ふっくらモチモチの食感、縄文時代から伝わる信州の郷土料理
野菜や山菜など旬の食材を炒めて味噌やしょうゆで味を調え、小麦粉を練ったもので包み、焼いたり蒸したりして作られるおやき。山に囲まれ雪の多い信州では、稲作の収穫量が伸びず、お米の代用品としてそばや小麦が栽培されていた。古くは縄文時代より粉もの料理が盛んで、いろりや灰の中でおやきを焼いていたとされる。その長い歴史から家庭におけるバリエーションは千差万別。朝食に子供のおやつに、お酒のつまみとして、調理法も焼き、蒸かし、揚げと様々である。年中行事に欠かせないごちそうとして愛されている。