野尻湖は、長野県上水内郡信濃町に位置する美しい天然湖で、標高約654メートルの高原地帯にあります。面積は4.56平方キロメートルで、長野県の天然湖としては諏訪湖に次ぐ規模を誇ります。湖の深さは最大39.1メートルに達し、その貯水量は諏訪湖を上回ります。
かつては「信濃尻湖(しなのじりこ)」とも呼ばれ、別名「芙蓉湖(ふようこ)」と称されることもあります。東に斑尾山、西に黒姫山という二つの名峰に挟まれたこの湖は、周囲に広がる妙高高原や黒姫高原とともに、妙高戸隠連山国立公園の一部として指定されており、自然の豊かさと美しさを併せ持つ名勝地です。
琵琶島は野尻湖に浮かぶ小島で、遊覧船やレンタルボートでアクセスできます。島内には宇賀神社があり、戦国武将・宇佐美定満の墓があると伝えられています。伝承では、島近くで静かに耳を澄ますと「楽声が聞こえる」とされるなど、神秘的な言い伝えも残されています。
夏季はカヌー、ボート、SUPなどのマリンスポーツが盛んで、ファミリーからアスリートまで楽しめます。また、寒冷地にもかかわらず冬でも全面結氷しないため、ストーブを備えた「ドーム船」を使ったワカサギ釣りが冬の人気アクティビティです。
斑尾山中腹にある「野尻湖テラス」は、東急リゾートが運営する展望施設で、湖全体と山々を一望できます。四季折々の野尻湖を一望できる絶景が楽しめ、特に秋の紅葉シーズンは圧巻の美しさです。
湖畔にある神山国際村は、大正10年(1921年)より野尻湖協会が管理し、多数の外国人が夏期避暑地として利用してきた歴史を持ちます。日本の避暑地文化の黎明ともいえる施設で、現在もその名残を感じることができます。日本三大外国人避暑地の一つとして外国人を中心に長期滞在型のリゾート地として人気があります。
野尻湖周辺は、旧石器時代から縄文時代にかけての遺跡群が点在し、総称して「野尻湖遺跡群」と呼ばれています。湖底や湖畔では、ナウマンゾウやオオツノジカの骨、石器・骨角器などが出土し、貴重な考古学的価値を持ちます。
これらの遺物を中心に展示する「野尻湖ナウマンゾウ博物館」も併設され、学術的観点からも注目される観光地となっています。
野尻湖は、標高654メートルの高原地帯、東に斑尾山、西に黒姫山を望む間に横たわります。その面積は約4.56平方キロメートルに及び、長野県内の天然湖では諏訪湖に次ぐ規模を誇ります。水深は2017年の測定で39.1メートルとなり、貯水量では諏訪湖を上回ります。
野尻湖がどのように形成されたのかには諸説あります。ひとつは斑尾山の噴出物が山麓をせき止めたという説、もうひとつは黒姫山の噴火による泥流が堰をつくり、その後西側が隆起したという説です。いずれにせよ、火山活動と地形変動が絡み合って誕生した湖なのです。
古くは「信濃尻湖」と呼ばれていましたが、時を経て「野尻湖」に変化しました。さらに湖岸線が入り組んでおり、芙蓉(ハス)の花や葉に似ているため「芙蓉湖」「蓮湖」との雅称もあります。地名の「野尻」は、湖西側が開けていたことから「沼尻」と呼ばれ、やがて「野尻」と転じたという説が伝わっています。
野尻湖は湖沼水質保全特別措置法により、保全が義務付けられた指定湖沼であり、周囲に開発による影響の少ない貴重な自然環境を維持しています。また、妙高戸隠連山国立公園にも含まれ、特別な景観と自律的な環境保全が図られています。
湖畔や湖底には、旧石器時代から縄文草創期にかけての遺跡群が38か所以上点在しています。なかでも湖底に眠る「立が鼻遺跡」「杉久保遺跡」からは、ナウマンゾウやオオツノジカの骨、石器・骨角器が出土しています。まさに「人類の営みと自然の相互作用」を示す貴重な証拠がこの湖に眠っています。
野尻湖は周囲に大きな河川を持たず、周辺の工業開発も少ないことから、湖底へは気候変動や自然環境の履歴がそのまま堆積しています。過去4.5万年間で水位が8回変化したことが判明し、寒冷期には水位が上昇していたことが明らかにされています。また、銅・鉛・亜鉛濃度の漂着状況から、人間活動の影響も読み取れる研究材料にもなっています。
野尻湖は笹ヶ峰ダム(乙見湖)とともに、池尻川を経由して関川下流の農地に灌漑用水を供給しています。農業の発展に不可欠な水源としての役割を果たしています。
約80年前にはナマズ、ギギ、ドジョウ、フナ、コイなど15種以上が確認されていました。地元漁協による放流活動でワカサギ、ヒメマス、ヘラブナなども加わりましたが、1978年に水草対策としてコイ科のソウギョを5,000匹放流。3年でほとんどの水草が除去された一方、エビやフナも激減する影響も出ました。その後も、ウグイの刺し網漁からワカサギの穴釣り、カマボコ船での釣りへと時代とともに変化してきました。
1980年代後半にオオクチバスが、1990年代にはブルーギルやコクチバスが確認されました。1995年からは観光振興を目的にルアーフィッシング対象魚に指定されましたが、2009年から3年間は禁止措置が取られました。また、長野県衛生公害研究所と地元ボランティアが1996年より水草復元活動に取り組み、ソウギョの生態的役割を利用しながら湖の生態系回復を目指しています。
東北電力運営の池尻川発電所は、野尻湖の水で最大2,340kWの電力を発生させています。冬場は水位が下がりがちですが、春先の雪解け水をポンプで湖にくみ上げながら農業用水を確保する「揚水発電所」を兼ねています。この方式は1934年稼働、中央電気(現在の東北電力前身)による日本初の揚水発電所とされており、国友末蔵の構想に基づき建設されました。
最寄りのアクセスは、しなの鉄道北しなの線「黒姫駅」から長電バス(急行/周遊/新交通バス)で野尻湖入口まで約30分です。また、JR東日本の北陸新幹線+飯山線で「飯山駅」まで行き、そこから急行バスに乗って野尻湖へアクセスできます。
野尻湖は自然環境、考古学的価値、水力発電と農業用水といった多面的な役割を通じて、人々の暮らしと密接に関わってきました。その豊かな歴史資源と、四季折々の美しい景観、さらにはアクティビティが揃った観光地として、訪れる人々に多くの感動を提供します。高原の澄んだ空気と静かな湖面、悠久の時間が織りなす風景の中で、ぜひ人生のひと時を深く味わってみませんか。