上林温泉は、長野県下高井郡山ノ内町大字平穏字上林に位置する、自然と歴史に彩られた風情ある温泉地です。標高約850メートルの高地にあり、志賀高原の山裾に広がる山林に囲まれたこの温泉地は、古くから文人墨客に親しまれてきた文化と芸術の香り漂う静かな湯の里として知られています。
上林温泉の湯は、ナトリウム・カルシウム-塩化物泉、硫酸塩泉などが主な泉質となっており、源泉の温度はおおよそ68℃と高めです。これらの泉質は、神経痛・筋肉痛・関節痛・冷え性・慢性皮膚病などに効果があるとされ、湯治にも適しています。湯上がりには肌がしっとりと潤い、心身ともに癒やされることでしょう。
上林温泉街から徒歩約30分の場所には、世界的にも有名な地獄谷温泉・地獄谷野猿公苑があります。ここでは、雪景色の中で温泉に浸かるニホンザルの姿が観察でき、多くの観光客に人気です。野生のサルが自然の温泉に入る姿は、まさに日本ならではの風景です。
温泉街の最奥には上林不動尊が鎮座しています。この地では、修験者による千駄焼きと呼ばれる火渡りの行事が行われ、霊験あらたかな雰囲気が漂います。山岳信仰の名残を感じさせる神聖な空間で、心を清めるひとときをお過ごしください。
温泉街のすぐ隣には、かつて長野オリンピックでスノーボード・ハーフパイプ競技が行われたかんばやしスキー&スノーボードパークがありました。現在は営業を終了していますが、志賀高原一帯は日本有数のスキーリゾート地として、冬季には多くのスキーヤーやスノーボーダーで賑わいます。
温泉街の下部には天川神社があり、地元の人々に親しまれています。境内には御柱が建てられており、祭礼時には力強い神輿の行列が見られることもあります。また、温泉街には美術館や民俗資料館も点在しており、文化と芸術を静かに堪能できる空間となっています。
上林ホテル仙壽閣(せんじゅかく)は、昭和初期に長野電鉄グループにより建設された、格式高い老舗温泉ホテルです。館内は和と洋が調和した美しい建築様式で統一されており、ゆったりとした客室と共に、温水プールなども完備。四季折々の自然を眺めながら、極上のひとときを過ごすことができます。
上林温泉の始まりは、1902年、更科(現在の中野市)の資産家・小林民作がこの地に別荘温泉保養地を開拓したことに由来します。その後、1913年には滞在していたドイツ人夫妻がこの地でスキーを楽しんだことをきっかけに、志賀高原スキー文化の端緒となります。
1928年には、長野電鉄創業者・神津藤平が温泉ホテルを開設。その翌年、サンモリッツ・オリンピックのノルウェー代表監督オラフ・ヘルセット中尉が当地を訪れ、「東洋のサンモリッツ」と絶賛。その後、志賀高原の観光開発が加速されていきます。
上林温泉は、昭和天皇(当時皇太子)、清朝最後の皇帝・溥儀、高松宮などの皇族や、軍人、文人、政治家たちにも愛され、多くの著名人が滞在しました。小林民作は文人墨客を積極的に招き、この地を文化芸術の保養地として発展させました。
上林温泉は、豊かな自然・文化・歴史に包まれた温泉地です。静寂な山あいで心身を癒やしながら、芸術や信仰に触れることができるこの地は、現代の喧騒を離れ、ゆったりとした時間を過ごすには最適な場所です。ぜひ一度、四季折々の美しさと歴史ある湯を体験してみてはいかがでしょうか。