山と渓谷に囲まれた自然豊かな村
高山村は、東西約17.8km、南北約10.7km、面積約98.5平方キロメートルの広さを持ち、その約85%を森林や原野が占めています。村の中心を流れる松川は、山々から流れ込む清らかな水を集めながら深い渓谷を形成し、豊かな自然景観をつくり出しています。
村域の一部は上信越高原国立公園に含まれており、標高2,000mを超える山々から里山まで、変化に富んだ自然環境を見ることができます。長野市中心部から約20kmという距離にありながら、街の喧騒から離れた山里らしい静けさが残されています。
四季それぞれに異なる高山村の魅力
高山村では、標高差を生かして一年を通じてさまざまな自然を楽しめます。
春|桜が彩る山里
春になると、村内の各地で桜が咲き始めます。特に4月から5月中旬にかけては、平地から山間部へと開花が移り、長い期間にわたって春の風景を楽しめます。
高山村には樹齢を重ねた桜の名木が数多く残されており、その中でも「高山村五大桜」と呼ばれる名木は、村を代表する春の見どころです。一本一本異なる姿を見せる古木を巡りながら、山里ならではの桜風景を楽しめます。
夏|涼やかな渓谷と高原
夏には、松川渓谷周辺が避暑地として魅力を増します。標高の高い場所では平地よりも涼しく、森林や渓流に囲まれながら爽やかな時間を過ごせます。
山田牧場は標高約1,500mに位置する高原エリアで、広々とした牧草地や放牧された牛、キャンプ場などがあります。夏にはエゾアジサイなどの高原植物も見られ、山の涼しい空気の中で自然を満喫できます。
秋|松川渓谷を染める紅葉
秋の高山村を代表する景観が、松川渓谷の紅葉です。標高2,076mの笠ヶ岳周辺から山間部、渓谷へと紅葉が下りてくるため、場所によって色づく時期が異なります。
10月から11月頃にかけては、ブナやカエデなどの木々が赤や黄色に染まり、深い渓谷と鮮やかな紅葉が織りなす美しい景観を見ることができます。晩秋から初冬にかけては、山々に雪が加わり、また違った表情を見せます。
冬|雪国ならではのウインターアクティビティ
冬になると高山村は雪に包まれます。YAMABOKUワイルドスノーパークをはじめ、山田温泉キッズスノーパークなどでは、スキーやスノーボード、雪遊びを楽しめます。
また、約13kmにわたる「タコチツアーコース」など、豊かな積雪を生かした冬のアクティビティも魅力です。雪景色を眺めながら温泉につかるという、雪国ならではの過ごし方も高山村の楽しみの一つです。
山あいに湧く「信州高山温泉郷」
高山村観光の大きな魅力となっているのが、村内の山間部に点在する温泉です。総称して「信州高山温泉郷」と呼ばれ、山田温泉、五色温泉、七味温泉、奥山田温泉、松川渓谷温泉など、それぞれ異なる趣を持つ温泉地が存在します。
山田温泉は、松川沿いに開けた温泉地で、古くから湯治場として親しまれてきました。五色温泉や七味温泉は、山深い環境にあり、自然に囲まれた露天風呂などが魅力です。
さらに山田牧場周辺の奥山田温泉や、子安温泉、蕨温泉ふれあいの湯など、村内にはさまざまな温泉があります。自然散策や登山、スキーなどと組み合わせて温泉を楽しめるのも高山村ならではの魅力です。
松川渓谷と雷滝
高山村を代表する自然景勝地の一つが松川渓谷です。深く切れ込んだ渓谷には豊かな森林が広がり、春の新緑、夏の深い緑、秋の紅葉、冬の雪景色と、一年を通して異なる美しさを見せます。
渓谷の見どころの一つが雷滝です。落差約30mの滝で、滝の水が勢いよく流れ落ちる迫力ある姿を間近で見ることができます。滝の裏側を通りながら眺められることから、「裏見の滝」としても知られています。
このほかにも、山中にはさまざまな滝や渓流があり、森林浴を楽しみながら自然の力強さを感じられます。
標高2,076mの笠ヶ岳と毛無峠
高山村の東側には、標高2,076mの笠ヶ岳をはじめとする山々が連なっています。標高の高い山域では、登山やトレッキングを楽しむことができ、山頂付近からは北信濃や周辺の山々を望むことができます。
また、群馬県との県境付近に位置する毛無峠も特徴的な景観を持つ場所です。標高の高い荒涼とした風景が広がり、独特の山岳景観を楽しめます。
山田牧場で楽しむ高原の風景
山田牧場は、高山村を代表する高原観光地です。標高約1,500mの広々とした牧草地では牛が放牧され、夏には高原らしい爽やかな風景が広がります。
周辺にはキャンプ場や温泉、スキー場などもあり、季節に応じてさまざまな楽しみ方ができます。夏は避暑やハイキング、冬はスキーや雪遊びの拠点として利用できます。
りんごとぶどうが実る農村風景
高山村は自然だけでなく、果樹栽培も盛んな地域です。昼夜の寒暖差が大きい気候を生かして、りんごやぶどうなどが栽培されています。
特にぶどうはワイン用の品種も栽培されており、地域の農業と結びついたワイン文化が育まれています。信州高山ワイナリーでは、高山村の風土を生かしたワインづくりが行われています。
山々を背景に果樹園が広がる風景は、高山村ならではの農村景観です。収穫の季節には、自然だけでなく食の魅力にも触れることができます。
高山村に残る歴史と古代の遺跡
高山村の歴史は古く、村内からは旧石器時代から人々が暮らしていたことを示す遺跡が見つかっています。1960年に発見された湯倉洞窟からは、約1万年前の土器や人骨などが確認され、古くからこの地域に人々の営みがあったことを伝えています。
村内には縄文時代の遺跡も34か所確認されており、その後の古墳時代にも人々の生活が続いていました。古代から中世にかけては高井郡の地域として発展し、現在の高山村につながる集落や交通の歴史が形成されていきました。
戦国時代から江戸時代へ続く歴史
中世には高梨氏などの勢力と関わりを持ち、戦国時代には上杉氏との関係も深まりました。江戸時代には幕府領や藩領などとして統治され、時代によって支配者が変化しています。
1598年には豊臣政権の直轄地となり、その後も徳川氏、福島正則、浜田藩、松代藩など、さまざまな領主との関わりを持ちました。山間の村でありながら、周辺地域を結ぶ交通や政治の変化とともに歴史を刻んできた土地です。
俳人・小林一茶ゆかりの文化
高山村は、江戸時代の俳人小林一茶ともゆかりがあります。北信濃一帯には一茶に関係する史跡や文化が数多く残されており、高山村にも一茶の足跡を伝える場所があります。
一茶館では、一茶をはじめとする地域の文学や歴史に触れることができます。自然景観だけでなく、文学や民俗文化を通して高山村を知ることができる施設です。
福島正則ゆかりの地
高山村には、豊臣秀吉の家臣として知られ、のちに信濃国川中島藩主となった福島正則に関係する史跡も残されています。
戦国時代から江戸時代へと移り変わる激動の歴史を感じられる場所として、村の歴史を訪ねる際の見どころとなっています。
笠ヶ岳への道と歴史を伝える文化財
山間部には、古くから人々が行き来してきた道が残されています。中でも謙信道は、上杉謙信にゆかりがあると伝えられる歴史的な道として知られています。
村内には諏訪神社や高杜神社などの神社も点在し、地域の信仰と山里の暮らしを今に伝えています。歴史民俗資料館などを訪ねれば、高山村で育まれてきた生活文化についても知ることができます。
ユネスコエコパークに認定された自然と里山
高山村の豊かな自然環境は、国際的にも評価されています。高山村は志賀高原ユネスコエコパークの区域に含まれています。
1980年に志賀高原地域がユネスコエコパークとして登録され、その後の拡張によって2014年には高山村全域と山ノ内町全域が正式に含まれることになりました。
ここで重視されているのは、手つかずの自然だけではありません。森林や農地、集落が調和した里山の景観と、人々の暮らしを維持しながら自然環境を守っていく取り組みも重要なテーマとなっています。
高山村では1982年頃から環境に配慮した農業にも取り組み、自然と人の生活が共存する地域づくりが続けられています。
温泉、自然、歴史を一度に楽しめる高山村
高山村の魅力は、単に美しい自然があることだけではありません。山々と渓谷、温泉、果樹園、歴史的な文化財、そして現在も続く農村の暮らしが一つの地域に凝縮されています。
春は名木の桜、夏は高原と渓谷、秋は紅葉、冬は雪景色とスキー。さらに一年を通じて温泉を楽しめるため、季節を変えて訪れることで異なる高山村の表情に出会えます。
観光地を急いで巡るのではなく、温泉に入り、渓谷を歩き、果樹園の風景を眺め、歴史を訪ねる。そんなゆったりとした山里の旅を楽しみたい人に、高山村はぴったりの場所です。