茶臼山恐竜園は、長野県長野市篠ノ井の茶臼山に位置する、自然と歴史の魅力が融合した個性的な公園です。この公園は、茶臼山の地すべり跡地を再整備して誕生した茶臼山自然植物園(総面積33ヘクタール)の一角にあります。
園内には、恐竜をはじめとする世界中の古生物の実物大のFRP(繊維強化プラスチック)製模型が設置されており、自然の中で恐竜と触れ合うことができる、日本で初めての「恐竜公園」として親しまれています。
この茶臼山自然植物園および恐竜公園は、長野市が市制施行80周年の記念事業として整備したものです。地すべり跡地という特異な地形を逆手に取り、「恐竜」という壮大なテーマを掲げることで、荒廃していた土地に非日常的な魅力を持たせることに成功しました。
入園は無料で開放されていますが、雪の多い地域であるため毎年12月中旬から3月中旬までは閉園となりますので、来園の際は時期にご注意ください。
公園内には、ジュラ紀・白亜紀などの古生代から中生代にかけての恐竜や古生物 約25体が実物大で展示されています。最大の恐竜は、全長25mものディプロドクスで、その迫力に圧倒されることでしょう。これらの模型はすべり台などの遊具としても機能しており、お子さまも体で触れて楽しむことができます。
春には公園入口付近の土手に約80本の桜が咲き誇り、満開の時期にはまるで桜のトンネルのような美しい景観を楽しめます。
以下は、生息時代別に設置されている22種26体の実物大模型の一覧です。
茶臼山は、過去に大規模な地すべりが発生したことで知られており、かつてはりんご畑や住宅が土砂により被害を受けました。その後、県と市が連携して地下水の排除や土砂の固定対策を講じたことで、ようやく地滑りは終息しました。
しかし、地滑り後の跡地は荒れ果てた状態となり、地元住民の失望の声が広がっていました。そうした背景から、長野市はこの土地を再活用し、人々が集い楽しめる場にすることを決意しました。
当時、長野市役所の元生活部長であった小島武彦氏は、茶臼山に恐竜が立つ幻想を抱きました。恐竜はフィクションの怪獣ではなく、実際に地球に存在した生物であり、その存在を通じて来園者が自然の歴史に思いを馳せる機会になるとの想いから、この奇抜な提案を会議で発表しました。
最初は周囲の反対もありましたが、小島氏の熱意が最終的に市長の心を動かし、恐竜設置の計画は現実のものとなりました。
設置場所が地滑り跡地であるため、通常のコンクリート基礎は使えませんでした。そのため、H鋼を用いたイカダ型の鉄骨土台を設計し、安定性と耐久性を確保しました。恐竜模型は、ガラス繊維を20%含む強化プラスチックで製作され、内部には鉄骨が通されており、最大風速35メートルにも耐える仕様となっています。
模型の制作を請け負ったのは日東商事という模型制作専門業者でしたが、実物大の恐竜を作るのは未経験の挑戦でした。東京の工房での打ち合わせや調整を重ねながら、色彩や質感についても試行錯誤が繰り返されました。
筋肉の動きに伴う色の変化を表現するため、イモリの観察や様々な動物の皮膚構造を研究しました。ステゴサウルスの模型では、亀の首のしわを参考にするなど、観察に基づいた表現が施されています。
1980年5月、制作を進めていた15体の恐竜模型が完成し、同年7月27日には恐竜公園が正式にオープンしました。来園者の快適性を考慮し、日陰を確保できる東屋の設計には太陽の動きまで調査した丁寧な工夫がなされました。
翌1981年にはさらに8体の模型が追加され、園としての完成度が高まり、多くの来園者に愛される施設となりました。
JR・しなの鉄道「篠ノ井駅」からタクシーで約15分。季節やイベントに応じて、長野駅からの送迎バスが運行されることもあります。