茶臼山動物園は、長野県長野市篠ノ井に位置する茶臼山公園の山麓に広がる動物園です。1983年、長野市制施行80周年を記念する事業の一環として開園し、以来「森の中の動物園」というコンセプトのもと、自然環境と調和した展示を大切にしてきました。標高のある立地と豊かな森林に囲まれた環境は、動物たちにとっても来園者にとっても心地よく、四季折々の自然を感じながら動物観察ができる点が大きな魅力です。
動物園は茶臼山公園内にあり、周辺には恐竜園や自然植物園、マレットゴルフ場などの施設が隣接しています。そのため、動物園の見学だけでなく、自然散策や家族でのレジャーを一日中楽しめる総合的な観光スポットとなっています。山の斜面を活かした園内構成からは、長野盆地を見渡す雄大な景色を楽しむこともでき、散策そのものが旅の思い出となるでしょう。
茶臼山動物園の最大の特長は、動物本来の行動や生態を重視した行動展示です。檻や柵を極力感じさせない設計により、動物たちがのびのびと暮らす姿を観察できます。こうした展示手法は、日本国内でも先進的な取り組みとして評価され、園全体に統一感のある景観を生み出しています。
園を代表する施設が「レッサーパンダの森」です。中国・四川省の森林をイメージしたこの展示は、日本を代表する動物園デザイナーである若生謙二氏が手がけました。擬岩や擬木を用いず、実際の植栽による造園で構成されている点が大きな特長で、周囲の山並みと自然に溶け込む美しい景観を生み出しています。
園内では、レッサーパンダが来園者の頭上を歩く姿を間近で観察でき、動物と人との距離の近さを実感できます。この展示は「生態がよくわかる動物園」として高く評価され、日本経済新聞のランキングで全国3位に選ばれました。茶臼山動物園は日本最大級のレッサーパンダ繁殖地としても知られ、長年にわたり多くの個体を育て、全国の動物園へと送り出しています。
レッサーパンダブームのきっかけとなった千葉市動物公園の「風太」に縁のある個体も飼育されており、立ち上がる姿で知られるレッサーパンダの愛らしい行動は、多くの来園者の心をつかんできました。園内の売店では、レッサーパンダをモチーフにしたぬいぐるみやお菓子などのお土産も充実しています。
アフリカ平原では、キリン、シマウマ、シロオリックスが同じ空間で暮らす共生展示が行われています。広々とした放飼場で動物たちが自然な関係性を保ちながら生活する姿は迫力があり、まるでサバンナの一場面を切り取ったかのようです。長寿を全うしたシマウマ「クミコ」の存在は、園の歴史を語る象徴的なエピソードとして今も語り継がれています。
2021年にオープンしたオランウータンの森は、従来の施設と比べて約28倍もの広さを誇ります。高低差や樹木を活かした構造により、オランウータンの立体的な動きを観察できるのが特長です。今後はコツメカワウソとの混合展示も計画されており、新たな学びと発見を提供するエリアとして注目されています。
2023年には新獣舎「ライオンの丘」がオープンし、ライオンたちのより自然に近い生活環境が整えられました。将来的にはアムールトラの新施設も計画されており、園は今後も進化を続けていきます。
山の斜面に広がる園内では、近年小型モノレールが整備され、坂道移動の負担が軽減されました。高齢者や小さな子ども連れでも安心して園内を巡ることができ、景色を楽しみながら快適に移動できます。写真家やライターからも「散策が楽しい動物園」として紹介され、特にリンゴが実る秋の風景は高い評価を受けています。
3月1日~11月末は午前9時30分から午後4時30分まで、12月1日~2月末は午前10時から午後4時まで開園しています。冬季は毎週月曜日と年末年始に休園日がありますので、事前の確認がおすすめです。
大人600円、小中学生100円と、家族連れでも利用しやすい料金設定となっています。団体利用の場合は割引もあり、学校行事や観光ツアーにも適しています。
最寄り駅はJRしなの鉄道篠ノ井駅で、タクシーや地域循環コミュニティバス「Zooぐる」を利用してアクセスできます。無料駐車場も完備されており、車での来園にも便利です。
長野市茶臼山動物園は、単なる動物展示施設ではなく、自然環境と動物福祉を重視した学びの場です。四季の移ろいを感じながら、動物たちの本来の姿に触れることができるこの動物園は、観光はもちろん、教育や癒やしの場としても高い価値を持っています。長野を訪れた際には、ぜひ足を運び、森の中で過ごす穏やかなひとときを体験してみてはいかがでしょうか。