小布施町は、長野県の北東部に位置する美しい町で、県内でもっとも面積の小さい自治体として知られています。面積は小さいながらも、その歴史的・文化的な価値の高さから、今では北信濃地域を代表する人気の観光地として、多くの観光客を魅了しています。
町の南には、緩やかな山並みを描く雁田山がそびえ、また町内を流れる千曲川や松川などの河川が豊かな自然環境を育んでいます。四季折々の風景が楽しめるこの地域は、散策やサイクリングにも最適です。
小布施町の歴史は古く、院政期には高井野牧や東条荘といった荘園の名前が文献に見られます。元暦元年(1184年)には、東条荘狩田郷の地が源頼朝によって平繁雅に還付されたという記録も残っています。
室町時代には、「応永の平和」と呼ばれる比較的安定した時期に浄光寺の薬師堂が建立されました。しかし、その後には幕府代官の命に反抗した地元国人高梨朝秀と幕府との間で争いが起こり、町域が戦場となったこともあります。応仁3年(1469年)には、高梨政高と井上政家の間で狩田郷の領有をめぐる争奪戦もありました。
戦国時代には高梨氏がこの地を支配していましたが、やがて上杉謙信を擁する越後の上杉氏に臣従し、上杉氏が会津に移封されるとともに小布施を離れました。江戸時代にはこの地は天領(幕府直轄領)となり、武将福島正則が晩年を過ごした地でもあります。1742年には「戌の満水」と呼ばれる千曲川の大洪水が発生し、町域は大きな被害を受けました。
幕末には、地元の豪商高井鴻山が文化人との交流を積極的に行い、浮世絵師の葛飾北斎や思想家の佐久間象山、俳人の小林一茶などが小布施を訪れ、文化の華を咲かせました。
小布施町の主要な産業は農業で、とくに栗の生産が有名です。小布施栗は全国的にも評価が高く、秋には栗を使ったスイーツを求めて多くの観光客が訪れます。そのほかにも、リンゴやぶどうなどの果物も栽培されています。
小布施町には現在、12の美術館・博物館が点在しており、町の文化的魅力を高めています。特に1976年に開館した北斎館を皮切りに、1980年代以降には町並みの修景事業も進み、年間30万人から40万人もの観光客を惹きつける町となりました。
浮世絵師葛飾北斎は晩年、小布施町に約4年間滞在しており、その縁から北斎の作品が町民の手に多く残されました。しかし海外での北斎作品の人気が高まる中、小布施町では作品の流出を危惧し、町が作品を買い上げたり貸与を受けるなどして、1976年に北斎館を開館しました。
開館初年度には3万4000人の入場者を記録し、それまで観光資源が乏しかった小布施町に観光地としての新たな魅力をもたらしました。1997年には年間40万人の入館者を突破し、2019年には累計来館者数900万人を達成しています。
・日本のあかり博物館:灯りをテーマにした展示が特徴の博物館です。
・おぶせミュージアム・中島千波館:地元出身の日本画家中島千波氏から寄贈された作品を中心に展示されています。
・屋台蔵:小布施町の伝統文化である祭り屋台を収納・展示しており、地域の歴史と風習に触れることができます。
観光で歩き疲れたあとは、おぶせ温泉で身体を癒すのもおすすめです。日帰り入浴施設も充実しており、自然の中でゆったりとくつろげます。
小布施町の岩松院は、葛飾北斎が手がけたとされる本堂の天井絵「鳳凰図」が見どころです。また、戦国武将福島正則の廟もあり、歴史好きには見逃せないスポットとなっています。
小布施町は、その美しい自然、豊かな歴史、文化、そして人々のあたたかさが織りなす魅力にあふれた町です。小さな町ながらも訪れる人に大きな感動を与えてくれる場所として、今後も多くの人々に愛され続けることでしょう。ぜひ一度足を運び、その魅力を直接感じてみてください。