おぶせミュージアム・中島千波館は、長野県上高井郡小布施町に位置する美術館で、地域の文化振興と芸術の発信を目的として設立されました。正式には「おぶせミュージアムの設置及び管理に関する条例」に基づいて運営されており、補助名称として「花咲くぶらり美術館・中島千波館」の名でも親しまれています。
1992年10月22日に開館した本館は、日本画家・中島千波氏の作品を中心に、多彩な展示と企画展を通じて、来館者に芸術と地域文化の魅力を伝える場所となっています。
中島千波館では、地元出身の著名な日本画家・中島千波氏より寄贈された約1000点の作品を所蔵・展示しています。桜や牡丹などの美しい花々をモチーフにした絵画をはじめ、人物画や装丁画、書籍の挿絵など、氏の多岐にわたる創作活動の軌跡をたどることができます。
特に注目されるのは、「坪井の枝垂れ桜」や「素桜神社の神代桜」といった大作です。これらは3メートルを超える大きな屏風に描かれており、その迫力と繊細さが訪れる人々を圧倒します。和の精神を感じさせる色彩と構図は、季節ごとの日本の美しさを再認識させてくれます。
館内には、小布施町の伝統文化を伝える屋台蔵も併設されています。ここでは町内にある7台の祭り屋台のうち、上町・東町の屋台(現在は北斎館に収蔵)を除く5台が展示されています。
特に、中町の「ギヤマン屋台」は天井に美しいガラス管が組み込まれており、幻想的な輝きを放ちます。また、伊勢町の屋台は白木で統一された建築様式が特徴で、気品ある佇まいが印象的です。これらの屋台は地域住民の誇りであり、祭り文化の継承に欠かせない存在です。
企画展示室では、年間を通じて多彩な展覧会が開催されています。地元作家によるギャラリートークや、親子向けの美術セミナーなど、教育的なイベントも充実しており、アートを身近に感じることができます。
また、小布施町出身の金型造形作家・青山文典氏の作品も収蔵されており、伝統と現代が調和する空間が広がっています。
中島千波(なかじま ちなみ)氏は1945年10月21日、長野県上高井郡小布施町に生まれました。父は画家・中島清之氏であり、戦時中の疎開を経て、この地に縁を持ちました。
1971年、東京芸術大学大学院を修了し、その在学中の1969年には、第54回院展に「窓」を出品して初入選を果たします。その後も「衆生」や「形態」などのシリーズ作品を制作し、現代日本画の旗手として活躍しています。
中島氏は1987年から3年間、NHK「きょうの料理」の表紙絵を手がけたほか、横浜の三溪園「不二と桃花図」「松林図」や、鎌倉の鶴岡八幡宮の「孔雀図」、歌舞伎座の緞帳「淡紅白梅」、さらには成田山深川不動堂の格天井絵など、全国各地で数々の大作を発表しています。
また、2005年には還暦記念として「中島千波の世界展」が日本各地で開催されました。そして、2006年には地元小布施町の名誉町民にも選ばれ、郷土の文化発展に多大な貢献をしています。
東京芸術大学名誉教授として後進の指導にも力を注ぎながら、日本美術家連盟の常任理事として美術界全体の発展にも尽力しています。著書としては「日本画の描き方」「中島千波画集」などがあり、初心者から専門家まで幅広い層に支持されています。
おぶせミュージアム・中島千波館の開館時間は、午前8時30分から午後5時15分までとなっております。土曜日、日曜日、祝日、および年末年始(12月29日~1月3日)は休館となりますので、来館の際はご注意ください。
車でのアクセスは便利で、上信越自動車道 信州中野ICから約10分、小布施スマートICからは約5分の距離にあります。公共交通機関をご利用の場合は、長野電鉄小布施駅から徒歩約12分で到着します。
おぶせミュージアム・中島千波館は、単なる作品鑑賞の場ではなく、日本画や地域文化の奥深さに触れ、芸術をより身近に感じられる空間です。地元の誇る芸術家・中島千波氏の作品と向き合う時間は、静かで豊かな心の旅となるでしょう。
小布施の町歩きと併せて、ぜひこの美術館を訪れてみてください。新たな発見と感動が、きっと皆さまを待っています。