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渋温泉

(しぶおんせん)

種類豊富な源泉がある古湯

渋温泉は、長野県下高井郡山ノ内町に位置する、1300年以上の歴史を誇る温泉地です。奈良時代に発見されたと伝えられ、「湯田中渋温泉郷」を構成する代表的な温泉地のひとつとして、古くから多くの人々に親しまれてきました。現在も温泉街には情緒ある木造建築が並び、石畳の道を浴衣と下駄でそぞろ歩く光景は、まさに日本の温泉文化を象徴する風情といえるでしょう。

種類豊富な源泉を誇る古湯

37本もの源泉が支える温泉文化

渋温泉の大きな魅力のひとつが、その圧倒的な源泉の多さです。旅館は約35軒、共同浴場(外湯)は9か所という規模に対し、源泉の数は37本にも及びます。いずれの源泉も60〜90℃という高温で湧出しており、自然の恵みをそのまま生かした「源泉かけ流し」の湯を楽しめるのが特徴です。

多彩な泉質と効能

源泉ごとに泉質や成分が微妙に異なり、主に単純温泉塩化物泉が中心となっています。それぞれに異なる効能が期待でき、神経痛や筋肉痛、冷え性、疲労回復など、さまざまな体の不調に寄り添ってくれます。外湯や宿の湯を巡ることで、湯ごとに異なる湯ざわりや香りを体感できるのも、渋温泉ならではの楽しみです。

風情あふれる温泉街の魅力

川沿いに続く石畳と木造建築

渋温泉街は、夜間瀬川の支流である横湯川沿いに形成され、川に寄り添うようにして旅館や商店が建ち並んでいます。石畳で整備された通りには、長い歴史を感じさせる木造建築が連なり、昼は落ち着いた趣、夜は提灯や宿の灯りが映える幻想的な景観を楽しめます。

浴衣と下駄が似合う町並み

宿泊客が浴衣姿で外湯を巡る姿は、渋温泉の象徴的な風景です。下駄の音が石畳に心地よく響き、温泉街全体がひとつの大きな湯処のような雰囲気に包まれます。こうした町全体で温泉文化を共有する空気感も、渋温泉が長く愛され続けてきた理由のひとつです。

名物「九湯めぐり」

宿泊者限定の特別な体験

渋温泉を語るうえで欠かせないのが、名物の「九湯めぐり(厄除巡浴外湯めぐり)」です。これは、渋温泉の宿泊者のみが参加できる特別な風習で、地元の人々が利用する9つの外湯を順番に巡っていきます。

九つの外湯一覧

一番湯:初湯
二番湯:笹の湯
三番湯:綿の湯
四番湯:竹の湯
五番湯:松の湯
六番湯:目洗い湯
七番湯:七操の湯
八番湯:神明滝の湯
九番湯:大湯

スタンプを集めて満願成就

外湯はすべて施錠されており、宿泊者に貸し出される共通鍵を使って入浴します。巡浴の際には「祈願手ぬぐい」を持ち、各湯に設置されたスタンプを集めていくのが習わしです。九つすべての湯を巡り終えた後、温泉街を見下ろす高台にある「渋高薬師」へ参詣し、最後の印を受けることで満願成就とされています。

この九湯めぐりには、「九(苦)労を流す」という意味が込められており、厄除けや無病息災、安産育児、不老長寿などのご利益があると伝えられています。

渋大湯と日帰り入浴

九湯めぐりの締めくくり「渋大湯」

九番目の外湯である「渋大湯」は、九湯めぐりの総仕上げともいえる存在です。木製の大きな湯船が特徴で、熱湯と温湯の二つに仕切られています。鉄分を多く含むため湯の色は茶褐色を帯び、ほのかに鉄の香りが漂います。古くから万病に効く湯として信仰されてきました。

日帰りでも楽しめる温泉

渋大湯は2006年から日帰り入浴にも対応しており、入浴券を購入すれば誰でも利用できます。ほかにも「信玄かま風呂」や「石の湯」など、気軽に立ち寄れる温泉施設があり、宿泊せずとも渋温泉の魅力を体感することができます。

渋温泉の歴史と伝承

行基による開湯伝説

渋温泉の開湯は、今から約1300年前、仏教僧行基によって発見されたという伝説が残されています。この地に湧く豊富な湯は、古くから人々の生活と深く結びつき、信仰と癒やしの場として大切にされてきました。

戦国武将・武田信玄との縁

戦国時代には、渋温泉は武田信玄の隠し湯のひとつとされ、信玄の寄進によって温泉寺が開かれたと伝えられています。川中島の戦いの際には、傷ついた兵士たちがこの地で湯治を行い、心身を癒やしたともいわれています。

文人墨客に愛された温泉地

江戸時代になると、渋温泉は文化人たちにも親しまれるようになります。思想家の佐久間象山、俳人の小林一茶、浮世絵師の葛飾北斎など、多くの文人墨客がこの地を訪れ、湯と風情を楽しみました。温泉街には、彼らの足跡を感じさせる逸話が今も語り継がれています。

文化・現代とのつながり

ポップカルチャーとの融合

近年の渋温泉は、伝統だけでなく現代文化とも積極的に関わっています。人気ゲーム「モンスターハンター」シリーズとのコラボレーションイベントでは、ラッピング列車の運行や限定商品の販売が行われ、多くのファンが訪れました。

映画『千と千尋の神隠し』との関係

渋温泉にある老舗旅館「金具屋」の建物「斉月楼」は、スタジオジブリ作品『千と千尋の神隠し』に登場する「油屋」を連想させるとして話題になりました。現在でも映画ファンがその幻想的な建築を一目見ようと訪れています。

まとめ

渋温泉は、豊富な源泉と個性豊かな外湯、歴史ある街並み、そして信仰や文化が融合した、日本を代表する温泉地です。九湯めぐりを通じて湯の恵みと祈りを同時に体験できる点は、他の温泉地にはない大きな魅力といえるでしょう。

長野の自然と歴史、そして人々の暮らしが息づく渋温泉で、心と体をゆっくりと癒やす旅を楽しんでみてはいかがでしょうか。

Information

名称
渋温泉
(しぶおんせん)
リンク
公式サイト
住所
長野県下高井郡山ノ内町渋
電話番号
0269-33-2921
アクセス

信州中野ICから車で20分[13km]
長野電鉄長野線湯田中駅からバスで10分 → 徒歩10分

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