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片倉館

(かたくらかん)

諏訪湖畔に佇む歴史ある温泉施設

片倉館は、長野県諏訪市の上諏訪温泉にある歴史的な温泉施設です。諏訪湖のほとりに建ち、荘厳な洋風建築と独特の雰囲気を今に伝えています。管理は一般財団法人片倉館が行い、会館棟・浴場棟・渡り廊下の3棟が国の重要文化財に指定されています。特に、深さ1.1メートルの「千人風呂」は片倉館を代表する名物として知られ、多くの観光客や温泉愛好家が訪れます。同敷地内には「諏訪市美術館」も併設され、文化と温泉が融合したスポットとしても人気です。

建築の特徴と文化財指定

片倉館の設計を手掛けたのは建築家森山松之助。洋風建築でありながら、和の意匠も融合させた独特のデザインが特徴です。建物はゴシック・リバイバル様式やロマンティック・リバイバル様式に近いとされ、諏訪湖畔の風景に美しく調和しています。2011年(平成23年)には、浴場棟・会館棟・渡り廊下の3棟が国の重要文化財に指定されました。

浴場棟は鉄筋コンクリート造2階建てで、外壁にはスクラッチタイルが使用されています。会館棟は木造と鉄筋コンクリートの併用で、204畳の大広間を有し、舞台付きの多目的空間として利用されています。また、噴水池や石塁も建物とともに附(つけたり)指定されており、敷地全体が文化的価値を持っています。

名物「千人風呂」と温泉の魅力

片倉館といえば何といっても千人風呂。幅4メートル、長さ7.5メートル、深さ1.1メートルという広々とした浴槽には、玉砂利が敷かれており、足裏を刺激して血行を促進します。浴槽の縁には二段の段差が設けられ、好みの深さで入浴できる工夫がされています。泉質は単純温泉で、神経痛やリウマチ、糖尿病、胃腸病などに効果があるといわれています。

また、館内にはジャグジー浴室や休憩室、貸切個室、舞台付き大広間などがあり、観光客だけでなく地元の人々の憩いの場としても利用されています。浴場内のステンドグラスや装飾も見どころのひとつで、入浴しながら芸術的な空間を堪能できます。

歴史と建設の背景

片倉館は、片倉財閥の二代目・片倉兼太郎によって1928年(昭和3年)に建設されました。彼は片倉製糸紡績株式会社の社長として製糸業を発展させる一方、従業員や地域住民の福利厚生にも尽力した人物です。建設の目的には、女工たちの健康と憩いの場を提供するための福利厚生施設としての意図がありました。また、天竜川沿いの水車業者や湖畔の農民との間にあった利害関係を調和させるという、地域への感謝と報恩の意味も込められていました。

兼太郎は欧米視察の際、福祉施設や文化的な建築の充実に感銘を受け、帰国後にその理念を日本にも広めようとしました。その結果、基金80万円を投じて片倉館を建設し、1929年に「財団法人片倉館」を設立しました。当初から市民に開かれた温泉施設として親しまれ、今なお多くの人々に愛されています。

映画のロケ地としての魅力

片倉館は、その美しい建築と独特の雰囲気から、映画やドラマの撮影にもたびたび使用されています。特に、2014年公開の映画『テルマエ・ロマエII』では主要なロケ地のひとつとなり、古代ローマの浴場を思わせる幻想的な空間として注目を集めました。

利用案内とアクセス

営業時間

開館時間は10:00~20:00(受付は19:30まで)で、休憩室は19:00まで利用可能です。食堂のオーダー時間は11:00~15:00。休館日は毎月第2・第4火曜日(祝日の場合は翌日休館)となっています。

アクセス

鉄道利用の場合、JR中央本線上諏訪駅諏訪湖口(西口)から徒歩約5分。自家用車では中央自動車道諏訪ICから諏訪湖経由で約7kmです。諏訪湖畔の散策と合わせて訪れる観光ルートとしてもおすすめです。

まとめ

片倉館は、単なる温泉施設ではなく、歴史・建築・文化が融合した諏訪を代表する文化遺産です。昭和初期の浪漫と地域の人々への思いが込められたその佇まいは、訪れる人に深い感動を与えます。諏訪湖を望むこの地で、歴史のぬくもりと湯の癒しをぜひ体験してみてください。

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名称
片倉館
(かたくらかん)

諏訪・蓼科・八ヶ岳

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