三本滝は、長野県松本市安曇地区・乗鞍高原の最上部に位置する名瀑で、「日本の滝百選」にも選ばれている県指定名勝です。その名の通り、小大野川、黒い沢、無名沢の三つの川が合流する地点にあり、それぞれの流れが異なる姿で並び落ちることから「三本滝」と呼ばれています。乗鞍岳の豊かな自然と溶岩地形が生み出したこの滝は、善五郎の滝、番所大滝と並び「乗鞍三滝」として広く知られています。
三本滝の魅力は、異なる三本の滝が一か所に集まり、それぞれ独自の表情を見せる点にあります。右側の滝は、小大野川の支流であるクロイ沢にかかり、黒色の溶岩を滑るように流れる姿が印象的です。中央の滝は小大野川本流の主瀑で、勢いよく豪快に水を落とす様子が圧巻です。左側の滝は無名の沢にかかり、木々の間からひっそりと流れ落ちる静かな風情を感じさせます。それぞれの滝が高さ50〜60メートル、滝壺の標高は約1,840メートルに位置し、訪れる人々を荘厳な雰囲気で包み込みます。
古くから乗鞍信仰の修験者たちが心身を清める行場として利用していたと伝えられる三本滝。その周囲にはシラビソやコメツガなどの常緑樹が茂り、荘厳な自然の中で心を静める時間を過ごすことができます。特に秋の紅葉シーズンには、緑の針葉樹とともにカツラやダケカンバ、ナナカマドといった広葉樹が赤や黄色に染まり、まるで絵画のような美しい景観を楽しむことができます。
三本滝へは、アルピコ交通の「三本滝バス停」または隣接する「三本滝駐車場」から、遊歩道「かもしかの小径」を徒歩約25分で到達します。整備された道を歩けば、澄んだ空気の中、木漏れ日を感じながら滝の音が次第に近づいてくる感覚を楽しめます。かつては鈴蘭地区の「鈴蘭橋」から登山道経由でのルートも存在しましたが、2004年の台風による崖崩れの影響で現在は通行できません。また、「乗鞍エコーライン」はマイカー規制の対象で、バスやタクシー、自転車のみが通行可能です。
春から秋にかけては観光や写真撮影に最適な時期であり、冬は雪に閉ざされるため遊歩道の通行が制限されます。自然の雄大さと神秘が調和した三本滝は、四季折々の美しさを感じながら静かに自然と向き合える場所です。訪れるたびに異なる表情を見せるこの滝は、乗鞍高原を代表する絶景スポットとして多くの人々に愛されています。