縄手通り商店街は、長野県松本市大手に位置する歴史ある商店街で、松本城や四柱神社にも近く、観光散策の拠点として多くの人々に親しまれています。松本駅から徒歩約10分、松本城からもわずか5分という好立地にあり、城下町の風情と昔懐かしい雰囲気が漂う通りは、訪れる人々を魅了してやみません。
縄手通りは、明治時代以降に松本城下町の南端にあった外堀を埋め立ててつくられました。その後、数多くの露店が並び、戦後直後には闇市として賑わった歴史を持っています。2001年(平成13年)には全面的に改装され、江戸から明治の町並みを再現した、下町風情あふれる商店街へと姿を変えました。女鳥羽川沿いに細長く続くこの通りは、「縄のように細く長い土手」であったことから「縄手」の名が付けられたとされています。
さらに歴史を遡ると、この名称は戦国時代の測量用具「水縄(みずなわ)」に由来します。松本城の外堀を掘削した際、その計画線の外側に引かれた水縄の線を「水縄手」と呼び、その間に生まれた細道が「水縄手道」となり、やがて「縄手通り」と呼ばれるようになりました。
縄手通りを歩くと、至るところでカエルのモチーフに出会うことができます。これは、かつて女鳥羽川に生息していた清流の象徴「カジカガエル」にちなんだものです。現在はその姿を見ることはできませんが、地域の人々は「いつか再びカジカガエルが戻ってくることを願い」、カエルを通りのシンボルとしました。毎年開催される「松本かえるまつり」は、商店主や学生、市民が協力して運営する地域密着型のお祭りで、地元文化の発信と街おこしの象徴的なイベントとなっています。
縄手通りは、東西に延びる細長い道で、自転車と歩行者専用道路として整備されています。かつては夜間に限り車両の通行が可能でしたが、2016年以降は終日歩行者天国となり、安心して散策を楽しめる環境が整えられています。江戸時代を思わせる長屋風の建物が軒を連ね、飲食店や雑貨店、土産物屋など個性的な店が揃っています。
縄手通りの入り口は大名町にあり、ここには「がまざむらい像」や大手交番があります。江戸風の意匠を凝らした公衆トイレや花屋、おもちゃ屋などが点在し、レトロな雰囲気を味わえます。通りを進むと、女鳥羽川に架かる幸橋の袂には親水公園が整備され、その向かいには四柱神社が鎮座しています。
この区間には食品や雑貨を扱う店舗が多く、散策途中に食べ歩きを楽しむのに最適です。特に、かつて存在した焼き芋の名店「三松屋」はテレビでも紹介されるほどの人気店でした(現在は閉店)。南側には昔の町並みを再現した建物が並び、往時の雰囲気を色濃く残しています。
さらに進むと一ツ橋が現れ、その周辺にはレストランやカフェが多く見られます。北側にはナワテ横丁があり、雑貨や食べ物を扱う店が並んでいます。通りの終点付近には婦人服店や青果店、公衆トイレが整備されており、その先は中の橋や上土町へと続きます。近隣には大正期の市役所を再現した市営住宅やレストランが入る建物もあり、大正浪漫の趣を感じることができます。
縄手通りの代名詞ともいえるのが「松本かえるまつり」です。2002年に始まり、毎年6月から11月にかけて開催されるこの祭りは、商店街の人々や学生、市民が一体となって運営しています。カエルをテーマにした雑貨やアートが並び、ステージイベントやワークショップも開かれるなど、観光客にも人気のイベントです。なお、2020年・2021年は新型コロナウイルスの影響により中止されましたが、近年は再び開催され、賑わいを取り戻しています。
縄手通りの周辺には多くの観光施設が集まっています。松本市時計博物館や松本市立博物館は文化を学ぶのに最適で、また蔵のまち中町では白壁となまこ壁が美しい町並みを散策できます。縄手通りと合わせて巡ることで、松本の城下町文化をより深く体感できるでしょう。
JR松本駅から徒歩約15分でアクセスでき、観光の起点として便利です。また、バスを利用する場合は松本バスターミナルから「大名町」や「中町・蔵シック館」バス停で下車するとすぐに到着します。松本城や四柱神社と合わせて訪れるルートは、多くの観光客に人気です。
縄手通り商店街は、松本の歴史と文化を色濃く伝える観光名所であり、地元の人々の生活にも根付いた場所です。女鳥羽川沿いの細長い通りに並ぶ商店やカフェは、訪れる人々に懐かしさと新鮮さを同時に与えてくれます。松本城や中町通り、四柱神社といった観光スポットと合わせて散策すれば、より一層城下町の魅力を堪能できることでしょう。
松本を訪れる際には、ぜひ縄手通りを歩いてみてください。カエルをモチーフとした街並みやイベント、温かな商店街の雰囲気は、旅の思い出を彩る特別な時間となるに違いありません。