信州(長野県)のほぼ中央、松本市の北東部にある温泉地で、松本の奥座敷として知られています。西には北アルプスの山々を眺めることができます。
松本城や城下町の散策に車で10分、安曇野などへの観光拠点にもなります。
長野県内の温泉の中でもトップレベルの湯量を誇り、源泉の温度が42〜52.3度のため、完全掛け流しで入れる宿が多い特徴があります。
源泉として第1号源泉、第2号源泉、第4号源泉、東北源泉、山田源泉、大下源泉、鷹の湯源泉の7カ所が利用されています。
また、未利用の源泉も温泉街中心から南東約300メートルの山林内に自噴しています。
泉質はアルカリ性単純温泉。温泉のほとんどは無色無臭ですが、第1号源泉だけは微かな硫黄臭を感じることがあります。
温泉街にはホットプラザ浅間を中心に約30軒の旅館があります。さらに、日帰り専用の入浴施設(枇杷の湯、市営浅間温泉会館ホットプラザ浅間)や共同浴場(仙気の湯、港の湯、倉下の湯)もあります。
他にも町会などが管理する共同浴場が多数存在しますが、一般には開放されていません。
歴史
開湯は約1000年以上前の天慶2年(939年)に地元の豪族である犬飼氏によって発見されました。「束間の湯」と呼ばれました。その後「筑摩の湯」と改められました。
鎌倉時代には守護 北条氏の領地となり、武士たちの奥座敷として親しまれました。
さらに、石川氏、小笠原氏、戸田氏など歴代の領主は「士族の湯」として人民の湯とは区別していました。現在も名前には「御殿の湯」などその面影が残っています。
江戸時代には松本藩主 石川氏の保養地として利用され、多くの湯治客で賑わいました。
現在も日帰り入浴施設「枇杷の湯」が存在し、温泉街には約30軒の旅館や共同浴場もあります。
また、浅間温泉は太平洋戦争末期には特攻隊員の待機所が置かれた場所でもあります。その他、テレビドラマやイベントの舞台にも使われることがありました。
松明祭り
五穀豊穣と安泰を願って行われる祭りで、日本三大奇祭の一つに数えられます。毎年暮れに御射神社に松明が奉納されます。
この祭りでは大小50本余りの麦藁を束ねた松明が温泉街を練り歩き、火祭りが行われます。100本以上の松明が使われるため迫力があり、観光客も参加できます。
御射神社は三才山山中に奥宮(秋宮)と浅間温泉に浅間の宮(春宮)の2つがあります。古代の祭神は山ノ神でしたが、後に諏訪大社と同じ祭神となりました。
御神体は建御名方命、八坂刀売命、事代主命の三神で、狩猟と農耕の神とされています。昔はこの地が「浅間社」と呼ばれ、御射神社春宮のすぐ下には別当寺として神宮寺が建てられました。
蕎麦
松本の気候は冷涼で気温差があるため、蕎麦はお米に替わる主食の一つとして栄えました。風味豊かな「信州そば」はこの地の気候によって育まれました。毎年11月初旬には信州そば博覧会が開催されます。
秋の新そばは、その香りの高さでそば好きにとっては欠かせない季節の風物詩となっています。10月下旬から11月にかけて、「新そば」が宿の自慢の料理メニューに登場します。
四季折々の食
春の山菜:信州では春に山菜が豊富に味わえます。ふきのとう、たらの芽、たけのこなど、独特の香りと苦味が春の到来を楽しませてくれます。ワサビの花も春の味覚の一つです。
秋のきのこ:新そばの時期には、「まつたけ」を代表とするきのこが美味しく採れます。浅間温泉でもきのこ料理は人気メニューの代表です。
各宿自慢の漬物:信州の代表的な漬物「野沢菜」が収穫され、宿でも自慢の「野沢菜漬け」が提供されます。
果物:松本地域の昼夜の温度差が大きいため、夏にはスイカやブドウ、秋には栗やリンゴが甘く美味しくなります。特にリンゴは冬の果物の王様として楽しまれます。
浅間温泉は大自然に囲まれ、歴史と文化に培われた国宝のお城の城下町、松本の奥座敷として庶民に親しまれてきました。
温泉のお湯はアルカリ性単純温泉で、無色透明でお肌をスベスベにしてくれます。さまざまな行事やイベント、四季折々の食が楽しめる素晴らしいロケーションの温泉地として、多くの人々に愛されています。
公共交通機関:
JR篠ノ井線松本駅からバスで20分
車:
松本ICから25分
梓川スマートICから松本トンネルを経由で10分