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中町・蔵シック館

(なかまち くらしっく かん)

中町・蔵シック館は、長野県松本市中央の中町通りに面して建つ展示・交流施設で、松本観光において欠かせない拠点の一つです。元は造り酒屋であった建物を移築・復元し、1996年10月に開館しました。母屋や土蔵、離れといった建物を利用し、展示会やイベントの会場として活用されるほか、喫茶スペースや会議室も備えており、訪れる人々に憩いと文化を提供しています。

歴史と成り立ち

中町・蔵シック館の前身は、松本市宮村町にあった「大禮酒造」です。この酒造は、1888年(明治21年)に建てられた土蔵と母屋、そして1923年(大正12年)に建てられた離れを有していました。松本の城下町は古くから豊富な湧水に恵まれ、酒造りが盛んに行われてきましたが、大禮酒造もその歴史の一端を担っていたのです。

これらの建物は1991年に解体され、現在の地に移築・復元されました。再生にあたり一部の間取りや材料は変更されたものの、土間や梁組、座敷などは当時の姿を忠実に復元し、往時の趣を色濃く残しています。開館時には公募により「中町・蔵シック館」と命名され、松本観光のシンボル的な存在となりました。

蔵のある街・中町通り

館が立地する中町通りは、松本城下町の中心的なエリアの一つです。江戸時代には善光寺街道の要所として発展し、本町や東町と並んで「親町三町」と呼ばれる繁華街でした。しかし1888年の大火によって町屋の大半が焼失。その教訓から耐火性に優れた土蔵造りの建物が次々と建てられ、やがて白と黒の「なまこ壁」が印象的な街並みが形成されました。今日の中町はその歴史的景観を生かし、民芸や工芸品の店が立ち並ぶ観光スポットとして再び賑わいを見せています。

施設の構成と特徴

中町・蔵シック館は、中庭を囲む三棟の建物と広場で構成されています。それぞれの建物は異なる役割を持ち、訪れる人々に多彩な楽しみを提供しています。

土蔵(1号館)

中町通りに面した土蔵は、現在「茶房」として喫茶店に活用されています。吹き抜けの梁や落ち着いた蔵の雰囲気を楽しみながら、観光の合間にひと息つける空間です。

母屋(2号館)

母屋は無料で見学可能で、展示会や文化イベントの会場として貸し出されています。内部は土間、和室、展示室などに分かれ、和の趣を感じさせる空間が広がっています。太い梁や土壁が当時の建築技法を物語っており、歴史を肌で感じることができます。

離れ(3号館)

1923年に建てられた離れは、50人収容可能な広いスペースを持ち、コンサートや会議、講座など多目的に利用されています。小規模な会議室も備えており、地域活動や文化交流の拠点となっています。

広場と夕市

館内の中庭にある広場には、手漕ぎポンプ式の井戸が残されており、松本の豊かな地下水文化を体験できます。この井戸は深さ25m、水温は年間を通じて15℃で安定しており、実際に利用することが可能です。また、毎年5月から12月にかけての毎週水曜日には夕市が開かれ、季節の野菜や花を求める地元の人々や観光客で賑わいます。

象徴としての杉玉

館の軒先には、造り酒屋の象徴である杉玉が吊るされています。これは新酒ができたことを知らせる合図であり、青々とした杉の葉がやがて茶色に変化することで、酒の熟成具合を示す役割も担っています。中町・蔵シック館の前身が造り酒屋であったことを象徴する、歴史を感じさせる風景のひとつです。

施設概要とアクセス

設計は降幡建築設計事務所が担当し、1996年に竣工しました。木骨土蔵造の建築様式が特徴で、歴史的価値と現代的な利便性を兼ね備えています。所在地は長野県松本市中央2丁目9-15で、JR松本駅から徒歩約12分とアクセスも良好です。

まとめ

中町・蔵シック館は、松本の城下町の歴史と文化を今に伝える重要な拠点です。明治時代の酒造建築を移築・再生し、展示や喫茶、地域イベントの場として多目的に活用されている点が大きな魅力です。中町通りのなまこ壁の街並みとともに訪れることで、歴史と現代が調和した松本ならではの風情を楽しむことができます。観光客にとっても、地域の人々にとっても、文化交流と憩いの場を提供する中町・蔵シック館は、松本の魅力を一層引き立てる存在といえるでしょう。

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名称
中町・蔵シック館
(なかまち くらしっく かん)

松本・上高地・塩尻

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