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塩の道ちょうじや

(しおのみち)

塩の道ちょうじやは、長野県大町市にある歴史博物館であり、かつて「塩の道」と呼ばれた千国街道の歴史と人々の暮らしを伝える貴重な施設です。日本海側の糸魚川から松本方面へと塩や海産物を運んだこの街道は、大町市の発展に大きな役割を果たしました。館内では、江戸時代に庄屋であり塩問屋を営んだ平林家の建物を利用し、当時の生活道具や交易に関わる資料を展示しています。

千国街道と塩の道

千国街道は、日本海側の糸魚川から信州松本へと続く物流の要路であり、「塩の道」とも呼ばれてきました。この街道を通じて運ばれた塩は、内陸部の生活や農業に不可欠な存在でした。街道沿いには宿場町が形成され、大町もその中心地のひとつとして繁栄しました。

館内では、牛に荷を引かせた牛方や、背負子を使って荷を運んだ歩荷に関する道具、旅の必需品である弁当箱や衣装、さらに沿線住民の生活用具や古文書などが展示され、往時の人々の暮らしを具体的に知ることができます。

平林家住宅の歴史

展示の舞台となる平林家住宅は、千国街道大町宿で庄屋兼塩問屋を営んだ名家の建物です。江戸時代から松本藩に任じられ、大町の有力者である「大町年寄十人衆」に数えられました。明治以降は醤油や味噌などの醸造業を手掛け、大町の発展に寄与しました。

母屋は明治23年(1890年)の建築で、当時の上層町家の特徴を色濃く残しています。式台玄関や広い座敷、立派な梁組などが見どころで、防火壁「うだつ」を備えた土蔵造町家としても注目されます。設計・施工には旧開智学校(松本市)の建築にも関わった大工棟梁・立石清重が携わったことが判明しており、建築史的にも貴重な存在です。

蔵の構造と特色

敷地内には、江戸から明治にかけて建てられた文庫蔵・漬物蔵・塩蔵が現存しています。特に「塩蔵」には、保管された塩からにじみ出る「にがり」を溜めるにがりだめが当時のまま残っており、全国的にも希少な設備です。文庫蔵は安政6年(1859年)の建築で、堅牢な構造が特徴です。これらの蔵は、平成29年(2017年)に国の登録有形文化財に指定され、保存価値の高さが改めて認められました。

展示内容の見どころ

母屋の二階には千国街道に関する資料が並び、当時使用された道具や文書から、塩の流通が地域社会に与えた影響を知ることができます。また、帳場や台所、客間など、当時の生活空間がそのまま残されており、まるで江戸時代にタイムスリップしたような感覚を味わえます。

併設施設・流鏑馬会館

館内には流鏑馬会館が併設されており、大町の夏祭り「若一王子神社」の例祭で行われる子ども流鏑馬に関する衣装や資料を展示しています。この祭礼は古くから大町の人々に受け継がれてきた伝統行事であり、地域文化を知るうえでも貴重な展示となっています。

保存と再開の歩み

塩の道ちょうじやは、1982年に塩の道博物館として開館し、「大町の歴史的環境を保存する会」によって町並み保存第1号に指定されました。しかし、運営企業の経営難から2012年に一時休館しました。その後、2013年に新たに一般社団法人が設立され、地域の人々の尽力により再び開館。今日も多くの来館者に塩の道の歴史を伝えています。

アクセス情報

交通手段

まとめ

塩の道ちょうじやは、交易の歴史を物語る千国街道と、大町の暮らしを今に伝える博物館です。平林家住宅を中心に、当時の生活道具や文書、貴重な蔵の構造を間近に見ることができるため、歴史や建築に関心のある方には特におすすめです。さらに、流鏑馬会館を通じて地域の祭り文化にも触れることができ、訪れる人々に大町の歴史と伝統の奥深さを伝えてくれます。歴史探訪や文化体験を求める観光の一環として、ぜひ足を運んでいただきたいスポットです。

Information

名称
塩の道ちょうじや
(しおのみち)

安曇野・白馬

長野県