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青鬼(集落)

(あおに)

青鬼は、長野県北安曇郡白馬村の北東部に位置する、標高約760メートルの山腹に広がる山村集落です。白馬村大字北城の一部に属し、重要伝統的建造物群保存地区として国の選定を受けている歴史的景観が残されています。集落の南西方向に目を向けると、白馬村の中心部と雄大な北アルプスの山並みを一望でき、訪れる人々を魅了します。

青鬼の地理と自然環境

地形と周辺の山々

青鬼集落は、北に岩戸山、東に物見山八方山を擁し、自然に囲まれた穏やかな地に位置しています。集落の背後には山林が広がり、正面には五竜岳や鹿島槍ヶ岳など北アルプスの名峰が見渡せることから、四季折々に美しい山岳景観を楽しむことができます。

棚田と用水路「青鬼堰」

集落の東側には、石垣で整えられた約200枚の棚田が広がり、伝統的な農村景観を形成しています。これらの棚田は「日本の棚田百選」にも選ばれており、歴史的価値とともに美しい農村の原風景を今に伝えています。また、江戸時代末期の万延・文久年間(1860~63)に開削された延長約3kmの用水路青鬼堰は、現在も水をたたえ、棚田を潤しています。

青鬼の歴史

古代からの人々の営み

青鬼周辺には、縄文時代中期から後期にかけての善鬼堂遺跡馬場遺跡が確認されており、この地が古くから人々の生活の場であったことを物語っています。集落の歴史は長く、自然と共生しながら築かれてきました。

江戸時代から明治時代の発展

現在の集落を形づくる伝統的建造物の多くは、江戸時代後期から明治時代にかけて建てられたものです。特に茅葺屋根の大型主屋が特徴的で、当時の生活様式を今に伝えています。明治時代以降、屋根は鉄板で覆われましたが、その佇まいは往時を偲ばせる貴重な存在です。

伝統的な建築と景観

主屋と土蔵

集落には15棟の主屋が現存しており、そのうち14棟が伝統的な形式を残しています。これらは今も住居として利用され、生活の息吹を感じられる点が特徴です。また、火災を避けるために主屋から離れて建てられた土蔵が7棟残り、伝統的な農村集落の景観を構成しています。

開放的な集落構造

青鬼集落は、等高線に沿って東西約250m、南北約100mの範囲に家々が配置され、石垣や水路、植栽などが敷地の境界を示しています。塀や生け垣が少ないため、開放感のある雰囲気が広がっており、訪れる人々に心地よさを与えます。

祭りと信仰

青鬼神社

集落の北側斜面には青鬼神社が鎮座し、地域の信仰の中心となっています。参道の石段や石畳を進むと、神社へと至り、厳かな雰囲気を味わうことができます。神社では5月の春祭、9月の本祭、11月の秋祭が執り行われ、地域住民にとって欠かせない伝統行事となっています。

石仏群と信仰の形

集落入口付近には向麻石仏群阿弥陀堂石仏群が点在しており、村人の信仰心を今に伝えています。これらは集落の景観の一部となり、訪れる人々に精神的な安らぎを与えています。

文化的価値と保存活動

重要伝統的建造物群保存地区

青鬼集落は2000年12月4日に重要伝統的建造物群保存地区として選定されました。選定面積は約59.7ヘクタールで、集落本体に加え、棚田や用水路、山林を含んだ広大な範囲が対象となっています。ここでは、建物や環境が一体となって歴史的景観を維持しており、地域的特色を顕著に示す貴重な存在として高く評価されています。

保存と観光の両立

青鬼では、住民の生活の場でありながらも観光地としての魅力を持つため、保存と観光のバランスが重視されています。訪れる人々は、歴史的な建造物や美しい棚田の風景を楽しむとともに、住民の暮らしを尊重しながら散策することが求められます。

まとめ

白馬村の青鬼集落は、古代の遺跡から江戸時代の建築、そして現在も息づく信仰や祭りまで、多彩な歴史と文化を有する山村です。四季折々の自然と調和した伝統的な景観は、訪れる人々に深い感動を与え、まるで時がゆっくりと流れるような体験を味わうことができます。白馬村を訪れる際には、ぜひ足を運び、棚田の広がる美しい景色と、歴史が息づく集落の魅力を体感してみてください。

Information

名称
青鬼(集落)
(あおに)

安曇野・白馬

長野県