聖博物館は、長野県東筑摩郡麻績村(おみむら)にある地域の歴史と文化、そして科学技術の発展を伝える貴重な博物館です。正式名称は「麻績村立聖博物館」であり、麻績村の豊かな自然と文化に囲まれた聖高原(ひじりこうげん)の聖湖畔に建っています。村の歴史や旧善光寺街道に関する資料をはじめ、航空や鉄道、戦艦などに関する全国的にも珍しい展示を数多く揃えた、見応えのある観光スポットです。
博物館の本館は、木造2階建て・延べ床面積303平方メートルの建物で、1965年(昭和40年)7月20日に開館しました。麻績村が制定した「麻績村聖高原観光施設の設置及び管理に関する条例」に基づき、観光客や地域住民が文化と歴史に触れられる施設として設置されたものです。
館内には、民俗資料や麻績村開発誌、仏像・石仏・書画などの美術品、さらに動物の剥製や植物・岩石の標本など、約1,300点にのぼる貴重な資料が展示されています。これらの展示は、麻績村の歴史や自然環境、そして人々の暮らしの変遷を知る上で欠かせない文化的財産です。
聖博物館の敷地内には、もう一つの魅力ある施設「航空資料館」が併設されています。この建物は明治10年(1877年)に麻績村立麻績小学校の校舎として建てられたもので、1971年(昭和46年)に移築・復元されました。現在の建物は木造2階建て、延べ床面積99.3平方メートルで、移築の際に当時の姿を残しつつ一部を縮小して保存されています。
館内では、航空に関する資料や部品、エンジンなどを中心に展示されており、特にジェット戦闘機F-104Jのエンジンは見どころのひとつです。また、鉄道関連資料もあり、かつての交通技術の発展を間近で感じることができます。
聖博物館の魅力のひとつが、屋外展示スペースです。ここでは、実物の大型機械や兵器が展示されており、その迫力とスケールに訪れる人々は圧倒されます。特に目を引くのは、戦艦「陸奥(むつ)」の41cm主砲身。戦艦の象徴ともいえる巨大な砲は、歴史の重みとともに平和の尊さを考えさせてくれます。
また、鉄道ファンに人気の高いD51型蒸気機関車(デゴイチ)も展示されています。1943年(昭和18年)に川崎車輛で製造されたD51 769号機は、黒光りするボディと力強い造形が特徴で、かつて日本全国を走った名機の姿を今に伝えています。
さらに、航空ファン必見の展示として、ジェット戦闘機F-104J(46-8608)をはじめ、F-86D(94-8146)、F-86F(82-7865)、そしてレシプロ練習機のT-34A(51-0337)など、航空自衛隊で実際に使用された戦闘機が並んでいます。これほど多彩な航空機を一度に見られる施設は、全国的にも極めて珍しい存在です。
聖博物館は、開館からまもない1965年8月14日に、当時の皇太子であられた明仁上皇がご訪問されたことでも知られています。その後も地域の学習拠点として愛され続け、2012年(平成24年)にはリニューアルを実施。木彫りの羅漢像の新展示や既存資料の再構成、説明文の充実化などにより、より分かりやすく魅力的な展示空間へと生まれ変わりました。
聖博物館は、単なる展示施設ではなく、麻績村の人々の歴史や誇り、そして未来への想いをつなぐ文化の拠点です。古き良き時代の暮らしを伝える資料から、航空・鉄道・海軍に関する技術の結晶まで、幅広い分野に触れることができます。
聖高原の美しい自然の中で、歴史と技術の歩みを感じられるこの博物館は、世代を超えて訪れる人々に多くの発見と感動を与えてくれます。麻績村を訪れた際は、ぜひ一度足を運び、過去と未来を結ぶこの貴重な場所を体感してみてください。