小谷村郷土館は、長野県北安曇郡小谷村に位置する郷土博物館です。現在の建物は明治時代中期に移築され、長らく全国的にも珍しい茅葺の村役場として使用されてきました。昭和48年(1973年)に郷土館として改修され、平成11年(1999年)には再改修を経てリニューアルオープンしました。館内では、小谷村の歴史や文化を物語る民俗資料・考古資料・歴史資料などが多数展示されており、訪れる人々に地域の魅力を伝え続けています。
特に注目すべきは、日本最古級とされる恐竜の足跡化石(中世ジュラ紀前期と推定)です。この貴重な資料は長野県の天然記念物にも指定されており、小谷村郷土館を代表する展示のひとつとなっています。そのほか、村の自然や生活を伝える数々の民具や古文書なども公開されており、地域の歴史と人々の暮らしを深く学ぶことができます。
もともとこの建物は明治時代初期、北安曇郡千国村に民家として建てられたものです。屋根は茅葺、構造は入母屋造という伝統的な造りを特徴としています。1889年(明治22年)に町村制が施行され、千国村と中小谷村が合併して南小谷村が誕生すると、この建物は南小谷村役場に転用されました。その後、1958年(昭和33年)には小谷村が発足し、小谷村役場として1971年(昭和46年)まで使用され続けました。
1974年(昭和49年)に修築が竣工し、同年6月から小谷村郷土館として一般公開が始まりました。その後、1998年(平成10年)には大規模な改修工事が行われ、翌年にリニューアルオープン。さらに2017年(平成29年)には、白馬乗鞍温泉スキー場にある牧の入り茅場で採取された茅を使い、茅葺屋根の全面葺き替えが実施されました。これにより、伝統的な景観を守りながら現代に受け継がれています。
展示の中心となるのは、やはり恐竜の足跡化石です。中世ジュラ紀前期にまでさかのぼるとされるこの足跡は、日本国内においても非常に貴重な資料であり、県の天然記念物に指定されています。子どもから大人まで幅広い世代に人気があり、科学的興味と歴史的価値を兼ね備えた展示です。
館内には、小谷村で古くから使われてきた農具や生活道具、衣類、信仰にまつわる品々が数多く展示されています。これらはかつての村人たちの暮らしぶりを鮮明に伝えるものであり、山間の生活文化を理解するうえで大変貴重です。また、古文書や歴史資料も収蔵され、村の成り立ちや人々の営みを学ぶことができます。
郷土館の敷地内には、藤原金重翁之碑(1942年建立)と田原勇翁之碑(1949年建立)の2基の石碑が建っています。これらは「小谷醸友会」によって建立されたもので、地域における酒造りの歴史や杜氏の活動を今に伝えています。小谷村の杜氏たちは全国各地で酒造りに携わっており、その技術と伝統は高い評価を受けています。
小谷村郷土館は木造建築で、延床面積は452平方メートル。伝統的な茅葺屋根と木造の構造が美しい調和を見せ、館そのものが歴史的価値を持つ建築物といえます。
開館時間は午前9時から午後4時30分まで(入館は午後4時15分まで)です。休館日は火曜日(祝日の場合は翌日)、および冬期(11月下旬~4月中旬)となっています。ただし、状況によって変更される場合がありますので、事前に確認することをおすすめします。
入館料は一般300円、中学生以下は無料です。また、障害者は100円で利用可能で、15名以上の団体には割引(一般240円)が適用されます。地域文化に触れる場としては大変利用しやすい料金設定となっています。
交通の便も比較的良く、JR西日本大糸線・南小谷駅から徒歩5分という便利な立地です。また、車で訪れる場合は、長野自動車道・安曇野ICから約90分、あるいは北陸自動車道・糸魚川ICから約50分で到着できます。駐車場は普通車10台分を完備しています。
小谷村郷土館は、茅葺屋根の美しい建物そのものが歴史を物語る文化財であり、館内には恐竜の足跡化石をはじめとした数々の貴重な展示が揃っています。訪れる人は小谷村の豊かな自然や歴史、そして人々の暮らしに思いを馳せることができるでしょう。地域の魅力を深く味わえるスポットとして、歴史や文化に興味のある方にぜひおすすめしたい施設です。