喬木村立椋鳩十記念図書館は、長野県下伊那郡喬木村に位置する公立図書館であり、村の誇る児童文学者・椋鳩十(むくはとじゅう)を顕彰する記念館を併設した特色ある文化施設です。椋鳩十の精神を受け継ぎ、地域の人々が活字に親しみ、生涯学習の機会を得られる場として広く親しまれています。
図書館の基本方針には、椋鳩十の言葉である「活字の林をさまよい思考の泉のほとりにたたずむ」が掲げられています。この理念のもと、幅広い世代が本と向き合い、心豊かな時間を過ごせるような空間づくりが行われています。
また、動物を題材に多くの児童文学を残した椋鳩十にちなみ、図書館に迷い込んだ猫を「猫館長」に任命していることも特徴です。来館者の心を和ませる存在として人気を集めています。
現在の記念図書館が開館する以前は、公民館図書室が村の読書活動の中心でした。住民の読書意欲を支え続けた図書室の取り組みが土台となり、ふるさと創生事業で国から交付された1億円の使途を村民に問うアンケートにおいて、椋鳩十の顕彰を望む声が多かったことから、1992年(平成4年)に図書館と記念館が併設される形で開館しました。
館内には村民の文化活動の発表の場として「村民ギャラリー」が設けられ、屋外には散策を楽しめる「ふれ愛散策路」も整備されています。
蔵書の中心は児童書であり、椋鳩十の作品や関連資料も積極的に収集されています。開館時間は10時から18時(金曜は20時まで)と利用しやすく、南信州図書館ネットワークに加盟しているため、周辺市町村の図書館との資料の貸出・返却も可能です。
記念館では、椋鳩十の生涯や作品、動物文学の研究資料などを8つのテーマに分けて展示しています。代表作である『片耳の大鹿』や『マヤの一生』をはじめ、晩年の作品『森の少女』の元原稿など貴重な資料も並び、椋鳩十の創作世界を深く味わえる内容となっています。
2016年、雪の日に駐車場で保護された茶トラ猫が「ムクニャン」と名付けられ、猫館長として正式に図書館の一員となりました。来館者の出迎えや見送りをする愛らしい姿が評判となり、入館者数の増加にもつながっています。
喬木村は「椋の里で未来を切り拓く心豊かな人づくり」を掲げ、図書館では椋鳩十が提唱した「母と子の20分間読書運動」を継続して行っています。また、「全村読書の日」や「椋鳩十夕やけ祭」など、読書を広げる各種イベントも開催されています。
さらに村内の保育園・学校・公民館と連携した取り組みも盛んで、親子で文学に親しむ会や、椋の作品を題材とした公演など、地域全体で読書文化を育てる活動が進められています。
記念図書館は天竜川越しに中央アルプスを望む高台に位置し、自然豊かな立地も魅力です。JR飯田線元善光寺駅から車で約15分、中央自動車道飯田ICからは約30分で到着します。敷地には80台分の共用駐車場が完備され、車でのアクセスも容易です。