飯田市は、長野県南部、南信地方に位置する美しいまちです。県内で最も南にある市であり、伊那谷の中心都市として発展してきました。周囲を南アルプスや中央アルプスの雄大な山々に囲まれ、天竜川が市の中央を流れる自然豊かな地域です。その立地から、古くから交通と文化の要衝として栄え、経済的には愛知県の主要都市とも深いつながりを持っています。
飯田市の中心部は、13世紀に築かれた飯田城の城下町として発展しました。江戸時代には飯田藩の政治・経済の中心地であり、三州街道(塩の道)の宿場町としても賑わいを見せました。こうした歴史的背景から、現在でも町の随所に城下町の面影が残り、古い町並みや伝統行事が訪れる人々を魅了しています。
また、飯田市は「人形劇のまち」としても全国的に知られています。毎年8月には「いいだ人形劇フェスタ」が開催され、国内外から多くの劇団や観客が訪れます。さらに、りんご並木や郷土芸能など、地域に根ざした文化活動が盛んで、まち全体がどこか温かみを感じさせる雰囲気を持っています。
飯田市は、南アルプス国立公園や中央アルプス国定公園、天竜奥三河国定公園などの自然公園に囲まれた自然の宝庫です。市内からは標高3,000メートル級の山々が望め、聖岳(3,013m)や光岳(2,591m)などの名峰が連なります。ほかにも、風越山や池口岳、茶臼岳など、登山愛好家にも人気の山々が点在しています。
主要な河川には、伊那谷を代表する天竜川をはじめ、阿知川、遠山川、上村川などがあり、清らかな流れが豊かな自然と暮らしを支えています。これらの川は、古くから舟運や水力の利用により地域の産業を支えてきました。
飯田市の気候は、中央高地式気候と太平洋側気候の中間に位置し、長野県の中でも比較的温暖で過ごしやすいのが特徴です。冬季の気温は穏やかで、真冬日となることは少なく、晴天の日が多くなっています。一方、夏は気温が高く、猛暑日となる日もありますが、朝晩は涼しく、自然のリズムを感じることができます。
飯田市には、豊かな文化を伝える多くの施設があります。たとえば、飯田市美術博物館では、美術作品や自然科学の展示を通して市民の教養を高めています。川本喜八郎人形美術館では、NHKの人形劇「三国志」で知られる人形美術家・川本喜八郎の世界を体感することができます。
また、竹田扇之助記念国際糸操り人形館では、世界各国のマリオネットを展示し、人形劇文化の国際的な交流を図っています。これらの施設は、飯田が「人形劇のまち」として確立した背景を支える重要な存在です。
飯田市には、四季折々の自然を満喫できる観光スポットが数多くあります。中でも有名なのが天竜峡です。天竜川が長い年月をかけて刻んだ渓谷で、断崖と緑が織りなす絶景が広がります。遊覧船で楽しむ「天竜舟下り」や「天竜ライン下り」では、雄大な自然を間近に感じることができます。
また、「そらさんぽ天龍峡」として親しまれる天龍峡大橋の遊歩道からは、空中散歩のようなスリルと美景を堪能できます。さらに、しらびそ高原や「日本のチロル」と呼ばれる下栗の里、そして地球の痕跡を残す御池山クレーターなど、自然の神秘に触れられる場所が点在しています。
飯田市では、年間を通して多くの伝統行事や祭りが開催されます。特に有名なのが、遠山の霜月祭です。これは国の重要無形民俗文化財に指定されており、古来より続く神々への感謝と祈りの儀式として、毎年12月に行われます。その他にも、お練り祭り、時又初午はだか祭り、飯田りんごんなど、地域住民の心をひとつにする賑やかな行事が多く開かれています。
飯田市は農業が盛んで、特に「信州りんご」の名産地として知られています。シナノスイートやシナノゴールドなどの品種は全国的にも人気が高く、秋には市内各地でりんご狩りが楽しめます。その他、赤石銘茶や地元の酒蔵「喜久水酒造」の日本酒も人気です。
また、地元グルメとしては、飯田焼肉、おたぐり(馬モツの煮込み)、五平餅などが有名で、観光客の舌を楽しませています。さらに、飯田水引や尾林焼などの伝統工芸品も地域の誇りとして受け継がれています。
飯田市は、自然・文化・人の温もりが調和する南信州の魅力あふれる都市です。城下町としての歴史を受け継ぎながら、現代的な感性で地域の文化を発信し続けています。豊かな自然と穏やかな気候、そして人々の笑顔が息づくこのまちは、訪れるたびに新たな発見と感動を与えてくれることでしょう。