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飯田市 川本喜八郎人形美術館

(いいだし かわもと きはちろう にんぎょう びじゅつかん)

人形劇とアニメーションの夢が息づく場所

飯田市 川本喜八郎人形美術館は、長野県飯田市の中心部に位置する、全国的にも珍しい人形美術の専門美術館です。日本を代表する人形アニメーション作家・川本喜八郎(かわもときはちろう)の作品を展示し、人形劇文化の魅力と芸術性を広く発信する拠点として、多くの人々に親しまれています。

川本喜八郎と飯田市の縁

人形アニメーションの巨匠・川本喜八郎は、NHKの名作『人形劇 三国志』(1982年~1984年放送)や『人形歴史スペクタクル 平家物語』の人形美術を手がけたことで知られています。彼が初めて飯田市を訪れたのは1990年、当時の「人形劇カーニバル飯田」での『三国志』上演の際でした。古くから人形芝居の伝統が息づく飯田の地と、人々の人形に対する熱い思いに触れた川本は、この町を深く愛するようになりました。

その後、彼は自身が制作した多くの人形を「人形たちに最もふさわしい場所」として飯田市に寄贈。飯田市もまた「人形劇のまち」として文化のさらなる発展を目指し、2007年3月25日に飯田市川本喜八郎人形美術館を開館しました。開館時には川本自身が初代館長を務め、芸術と地域文化の架け橋としての活動が始まりました。

展示内容 ― 名作『三国志』と『平家物語』の人形たち

館内では、NHKで放映された『人形劇 三国志』や『平家物語』に登場した人形を中心に、川本の代表的な人形アニメーション作品『火宅』『花折り』『冬の日』などの人形も展示されています。展示数はおよそ200体にのぼり、そのうち60~80体が『三国志』の登場人物です。精巧に作られた人形たちは、表情や衣装、素材のすべてに川本の美学と職人技が息づいています。

展示は定期的に入れ替えが行われるため、訪れるたびに新しい表情の人形たちに出会えるのも魅力のひとつです。特別展として「川本喜八郎追悼展」や「川本喜八郎と飯田~20年の軌跡」なども開催され、彼の創作人生と飯田市との深い結びつきが紹介されています。

館内構造と見どころ

美術館は鉄筋コンクリート造の3階建てで、飯田信用金庫本店と隣接しています。

1階:収蔵庫

一般公開されていない収蔵庫では、川本の人形作品や資料が大切に保管されています。

2階:美術館入口・サロン・映像ホール

エントランスホールでは、来館者を出迎える諸葛孔明像が印象的です。映像ホールでは川本のアニメーション作品を上映し、彼の表現世界をより深く理解することができます。また、サロンでは人形劇に関する講座やイベントが開かれ、地域と芸術が交わる場として活用されています。

3階:展示室・スタジオ

メイン展示室では、川本が手がけた人形劇・人形アニメーションの世界をじっくり鑑賞できます。スタジオでは人形劇関連のワークショップや実演も行われ、来館者が人形づくりの奥深さを体感することができます。

利用案内

開館時間: 9:30~18:30(最終入館18:00)
休館日: 毎週水曜日・年末年始
アクセス: JR飯田線「飯田駅」または高速バス「飯田駅前」より徒歩約12分。
車の場合は中央自動車道「飯田IC」から約8分。

また、美術館が位置する飯田市中心部には、観光案内所や「りんご並木」など散策スポットも多く、観光とあわせて楽しむことができます。

いいだ人形劇フェスタ ― 人形文化の祭典

飯田市が「人形劇のまち」として知られる理由の一つが、毎年8月に開催される「いいだ人形劇フェスタ」です。1979年に「人形劇カーニバル飯田」として始まったこのイベントは、国内外から数百の人形劇団が集う日本最大級の人形劇の祭典です。プロからアマチュア、学生劇団、地元中学生の伝統人形座まで、多彩な劇団が参加し、町全体が人形劇一色に染まります。

期間中は「人形劇パレード」や夜間公演の「ミッドナイトシアター」などユニークな催しも行われ、世代を超えて楽しめる内容となっています。また、参加者はフェスタのシンボルである「ワッペン」を購入して参加。ワッペンを身につけることで美術館の無料入館などの特典も受けられます。

飯田の伝統人形劇と文化

飯田地域には、江戸時代から続く伝統人形浄瑠璃の流れが現在も息づいています。特に「黒田人形座」「今田人形座」などは300年以上の歴史を持ち、毎年の祭礼で奉納上演が行われています。こうした伝統芸能を守りつつ、新しい人形劇文化を生み出しているのが飯田市の特色です。

「竹田扇之助記念国際糸繰り人形館」や「飯田人形劇場」など、人形劇関連施設も充実しており、年間を通して多くの公演が行われています。まさに飯田市は「人形劇の聖地」と呼ぶにふさわしい場所です。

まとめ ― 芸術とまちが融合する空間

飯田市川本喜八郎人形美術館は、単なる展示施設ではなく、人形を通じて人と文化をつなぐ場所です。川本喜八郎が生涯をかけて追求した「命を吹き込む芸術」がここには息づいています。訪れる人々は、静かな展示室の中で、今にも動き出しそうな人形たちのまなざしに魅了されることでしょう。

人形劇を愛する人も、初めてその世界に触れる人も、飯田の地で人形たちが紡ぐ物語にぜひ耳を傾けてみてください。

Information

名称
飯田市 川本喜八郎人形美術館
(いいだし かわもと きはちろう にんぎょう びじゅつかん)

阿智村・飯田

長野県