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ローメン

半世紀以上の歴史をもつご当地麺。スープ有り無しが両方楽しめる

中央アルプスと南アルプスの山々に挟まれた、長野県の伊那市は、天竜川が流れる自然の恵み豊かな町。そこの名物”ローメン”は、マトン(羊肉)などの肉類と野菜を炒め、太めの中華麺を蒸したものを加えた独特の麺料理だ。昭和20年代後半に、中華料理店の主人が考案したといわれており、当時は”炒肉麺(チャーローメン)”と呼ばれたが、それが変化して「ローメン」になったという。それから半世紀を経て、伊那の食文化に浸透し、現在ではローメン扱う店も多い。ローメンには、ラーメン風のものとソース焼きそば風の2種類があるようだ。

ローメンは、長野県の伊那地方で生まれた独特な麺料理で、羊肉と野菜を炒めて蒸した太めの中華麺を使用します。この料理は中華風のスープを加える場合と加えない場合があり、ラーメンや焼きそばとは異なる風味を持っています。

この料理には、中太で水分が少なめの中華麺を使用します。地元の伊那市では、主に合資会社服部製麺所の麺が使われることが多く、これは製麺所で蒸されたむし麺です。ただし、全国的に販売されている焼きそば用のむし麺とは異なり、茶色っぽい色合いで硬めの食感が特徴です。

具材としては、マトン(羊肉)、キャベツ、キクラゲなどの野菜をスープやウスターソースなどの店ごとの味付けで炒め、ニンニクを加えて再加熱した麺と組み合わせて提供されます。マトンの風味は個人の好みによりますが、豚肉や牛肉を使ったバリエーションもあります。これらは「豚(トン)ローメン」などと呼ばれ、伝統的なローメンと区別されます。お好みに合わせて選べる献立や、麺の量を調整できる店も多いです。

スタイルには、スープに半分浸かったラーメン風のものとスープのないソース焼きそば風のものがあります。また、カレー味や冷やしローメンなど、さまざまなバリエーションが存在し、同じ名称で提供されることに違和感を感じる人もいます。しかし、歴史の新しい料理であり、太めの蒸し麺と肉、キャベツを使用した料理の総称として捉えるのが適切です。

一般的な薬味としては、一味または七味唐辛子が使われます。また、ソース、酢、ごま油、ラー油、すりおろしニンニクなどを加えて個々の好みに合わせて味を調整することが推奨されています。

歴史

1955年、長野県伊那市にある中華料理店「萬里」の東京・横浜で料理人として修行した経験のある店主が、地元の製麺業者である服部製麺所と協力して考案しました。

当時は冷蔵庫がまだ一般的でなかったため、仕入れた生麺を翌日まで保存する方法に苦慮していました。そこで、伊藤は試行錯誤の末、麺を蒸して日持ちさせる技法を考案しました。

この蒸し麺特有の風味を活かして創作した料理がローメンです。肉は、伊那市周辺で盛んに飼育されていた牧羊に伴う副産物のマトンが使われ、塩漬けにされて保存されました。野菜は、周辺で多く栽培されていたキャベツを使用しました。

ローメンは酒のつまみなどに好評で、やがて人気のある料理として広がっていきました。最初は「炒肉麺(チャーローメン)」と呼ばれて販売されていたようです。中国語で「炒肉麺」は通常、豚肉を使った焼きそばを指すため、最初は「炒羊肉麺」と呼ばれていました。しかし、普及過程で「チャー」の部分が省略され、「ローメン」という名前が定着しました。

この料理名を自由に使用することを許したため、ローメンは他の店にも広がりました。スープを使わない焼きそばスタイルのローメンや、地元の家庭料理や学校給食にも取り入れられるようになりました。

地域の郷土料理として定着したことから、1994年には伊那市がローメンを町興しのきっかけとして取り上げ、ローメン委員会(現在のローメンズクラブ)が設立されました。2004年にはローメン発祥の地の記念碑が建てられました。地元では6月4日を「蒸し」と読むことから、ローメンの日とされ、安価に提供される特別な日となっています。

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名称
ローメン

木曽

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